講師●野沢秀雄
PROFILE
のざわ・ひでお/1940年生まれ。京都大学卒業。日本で初めてプロテインを開発。健康体力研究所を設立し、現在は顧問。社団法人日本ボディビル連盟で公認指導員講習会の講師を長年務める。身体作りやトレーニングについてメディアから多くの取材を受け、雑誌や新聞に多数連載を続けている。
握力の強さは指と前腕
中学、高校の同級生にA君という握力がめっぽう強い人がいました。体育の授業でクラス全員が握力を測定すると、A君だけ70キロも出すのです。A君は何か運動していたわけではなく、身長も体重も普通くらいでした。
彼の家は農家で、幼い頃からシャベルやクワで土と遊んだり、大木の高い場所まで登ったりしていたそうです。そのせいか、両手や指が太くて大きいこと、そして前腕の太さが跳びぬけていました。
実は握力は指の力と同時に前腕の筋肉の強さを示す数字です。私は多くのアスリートを対象に体力測定を行った結果、握力と前腕の太さが比例することを確認しています。A君は小さい頃からの遊びで握力、前腕が強くなったのです。
テニスをする人にとって握力の強さはパワーの源泉。長時間の練習や試合にも欠かせません。
成人後も握力は強くなる
筋トレを指導するスポーツジムでは「リストカール」が前腕強化のメインになります(イラスト参照)。
筋肉は10代後半から20代が最も発達します。成長ホルモンや男性ホルモンが旺盛だからです。
とはいえ、筋肉は時々刻々と変化しています。適度な刺激を与え、適度な栄養と休養で何歳になっても強く大きくなるのです。
前腕の筋肉も大きくなり、同時に指を動かすパワーや持久力も高まります。毎日するのでなく、1日おきか2日おきにリストカールを試してください。ポイントは次第に重さを増やすことです。また、指先で重さを支える感じを大事にしてください。
器具なしで握力を強くする
リストカール以外に、自宅で簡単に強くできる方法があります。
① ペットボトルでリストカール
手首は動かないように固定し、しっかり指先を伸ばしきること、また曲げるときは完全に巻き込むことがポイントです。ゆっくり1センチずつ意識して上下させます。慣れたら重さを必ず増してください。
② 指立て伏せ
手のひら全体を床に付けるのでなく、指先だけで体重を支える感じで腕立て伏せを行う。
③ タオル絞り
入浴後、使用したタオルを両手で力いっぱい絞る。水が1滴も出なくなるまで絞り込む。
④ ボール握り
テニスボールの上から5本の指全体でつかみ、ギュッーと強く押さえる。これを何度も繰り返す。
⑤ つり革の輪握り
電車やバスに乗ったとき、座らずつり革の輪を上からギュッと5本の指でつかむ。つかんだまま力を込めて10秒数える。これを繰り返す。
⑥ 強い握手
相手が痛がりますが、とにかく力いっぱい強い握手をする習慣にします。触れ合うことで人間関係が深まります。特に男性とは強い握手ほど信頼が高まります。ただし女性には優しく……。
前腕の筋肉にもタンパク質
何度も書きますが、筋肉はタンパク質で強くなります。肉、魚、卵、牛乳、プロテインなどを積極的に食べてください。ビタミン類が大切なことは言うまでもありません。
強いカラダをつくる12の鍵、第7回「握力を強くするカギ」は以上です。
連載はまだまだ続きます!予定は次の通り!
- 第1回「身長を伸ばすカギ」
- 第2回「胸を厚くするカギ」
- 第3回「脚を強くするカギ」
- 第4回「体幹を鍛えるカギ」
- 第5回「肩とヒジを強くするカギ」
- 第6回「ヒザと足首を強くするカギ」
- 第7回「握力を強くするカギ」
- 第8回「持久力を高めるカギ」
- 第9回「運動神経を良くするカギ」
- 第10回「視力を良くするカギ」
- 第11回「余分な体脂肪を落とすカギ」
- 第12回「ぐっすり眠るカギ」
この内容は「熱中!ソフトテニス部」23号に掲載したものを再掲載したものです。雑誌のバックナンバーをお求めの方はBBM販売サイトよりご注文ください。