成長期の今がチャンス!強いカラダをつくる12のカギ 第11回「余分な体脂肪を落とすカギ」
水曜連載・身体と健康のおはなし
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講師●野沢秀雄
PROFILE
のざわ・ひでお/1940年生まれ。京都大学卒業。日本で初めてプロテインを開発。健康体力研究所を設立し、現在は顧問。社団法人日本ボディビル連盟で公認指導員講習会の講師を長年務める。身体作りやトレーニングについてメディアから多くの取材を受け、雑誌や新聞に多数連載を続けている。
余分な脂肪が落ちればキレが良くなる
テニスプレーヤーに肥満体の人はあまり見られません。テニスの運動量はとても多く、食事で得たエネルギーが消耗されて、体脂肪として蓄積される量が少ないためです。
とはいえ、やや太めで困っている選手もいるし、お腹や下半身だけ少し減らしたい選手もいるでしょう。
簡単な腹筋運動と食事の改善により、ラクに余分な体脂肪を落とす方法があります。成功したとき、身体全体が軽く感じられ、動きが素早くなり、「キレがよくなったねえ」と褒められることが多いのです。数年前に作った洋服を着ることができ、大喜びしている人もいます。
短い腹筋運動でも引き締まっていく
以前には「脂肪を落とすには20分以上連続して走らないとダメ」「腹筋運動で部分やせは不可能」などと言われた時代がありました。
けれども現代では多くの実験結果から、ごく短い腹筋運動でも脂肪が燃焼し、やせられることが証明されています。身体表面の皮下脂肪より、腹部の内部にある脂肪のほうが減りやすいことも判っています。
下記の①トランクカール(へそのぞき)のように、首だけを上に上げる簡単な運動だけで、短期間に腹部の脂肪がとれて、ウエストが細くなった実例があります。脇腹の脂肪を落としたいなら、②のわき腹のストレッチがお勧めです。
朝布団から起きる前に①と②を交互に3セットするだけで1か月に3センチもウエストが細くなることもあります。身体が軽くなり、動作が素早くできるようになります。
食事コントロールが重要
糖質は身体に負担をかけない
余分な脂肪を落とすには、運動と同時に食事をコントロールすることが重要です。「ご飯、パン類、麺類、菓子、ポテトなど、糖質は全部やめるといい」と主張する医師がいます。確かに「ご飯はおかわり無料」「大盛りでも同料金」「麺類に無料のご飯が付く」といった店が増えているので、若者ほど、ご飯類=糖質に偏りがちです。だからこそ、「糖質食品をやめれば体重が減る」という意見はよく理解できます。
私も1か月以内なら糖質を最小限に減らす方法を勧めています。腹筋運動と同時に糖質制限で効果が短期間に現れるからです。
けれど1か月以上継続することは反対です。糖質はエネルギー源として身体に負担をかけません。特に脳や筋肉の働きに必要不可欠です。一日3回、茶碗に軽く1杯のご飯を食べても、運動を続けているなら肥満体になることはありません。
減量に成功する食事のポイント
- 食べる量を30%減らす。特に糖質と脂肪を減らす。筋肉などの材料になるタンパク質は減らさない。
- まず野菜から多めに食べる。
- よくかんで、ゆっくり食べる。
- 間食や夜食を食べない。夕食は夜8時までに終えること。
- 補助的にビタミンやミネラルのサプリメントや医薬品を使用する。
- 塩分は薄めにする。酢は多く使うようにする。
簡単で確実に体脂肪を減らす運動
①トランクカール(へそのぞき)《20回》
1、仰向けに寝て両手を頭の後ろに組む
2、背中の下部が床から離れない程度まで上半身を起こす
3、繰り返し20回、慣れるにつれて100回を目標に。下ろしたときも肩は床面に着かないで再び起き上がれるように
【ポイント】背中の下部は床から離さない。
【効果】へそから上の脂肪が取れやすい。内臓、特に胃と腹を強化する。
②わき腹のストレッチ《30秒×3セット》
1、仰向けに寝て、両ヒザをそろえて直角になるまで曲げる
2、ゆっくり左側に倒し、床につける感覚で30秒
3、元に戻して、右側に倒して30秒
③レッグレイズ《30回×3セット》
1、仰向けに寝て両足をそろえたら、勢いよく頭上に高く振り上げる
2、ゆっくり下に下ろすが、下ろしたとき床に足をつけないで、2秒待つ
3、そのまま、再び上に振り上げる
【効果】へそから下の脂肪が取れやすい。
④ウルトラレッグレイズ
1、テーブルの上に上半身を寝かせる
2、両手を頭上に持っていき、テーブルの端をつかむ
3、足を頭の上に振り上げて、徐々に下ろしていく(水平の位置まで)
4、慣れるにつれ、上半身をテーブル外へと下げていき、肩から下で円を描けるように
【ワンポイント】きついが、若いスポーツ選手なら軽くでき、効果が大きい。
⑤フロントレッグレイズ《6秒×10回》
イスに腰掛け、両手を身体の横に添えて足を持ち上げる。教室などで遊びながらできる。上級者向け応用としてイスや机を2つ用意し、その間などで同様にすることも
⑥ハンギングレッグレイズ
鉄棒などにぶらさがって両足を前へ伸ばす。遊び感覚で実行でき、効果大。
⑦シットアップ※いわゆる“腹筋”《30回×3セット》
1、足先をタンスの先など何かにかけて押さえる
2、頭の後ろで手を組む。本などを頭の後ろに置いて組んでもよい
3、上体を1センチずつ意識しながらゆっくり起こす
4、下ろしたときには床に寝ないで、上体は5センチくらい離しておく
【ワンポイント】横たわる台を斜めにして起き上がる角度をきつくすればきついほど、また、頭のおもりが重いほど、腹筋の割れ目が6つ、確実に目立つように
⑧V字シット(Vシット)
1、床の上で上体と両足の両方を同時に上げる
2、6秒静止する。これを10回繰り返す。
【ワンポイント】身体の角度は45度が中心だが、いろいろ変えると効く場所が変わって面白い。
⑨サイドベント(シッティング)
1、アグラを組んで座り、手は頭の後ろで組む
2、そのまま右へ身体を倒す、静止6秒
3、左へ身体を倒す、静止6秒
4、以上を10回繰り返す
【応用】片手にダンベル(ペットボトルでもOK)を持って、もう一方の手を頭の後ろにつけ、左右に身体を倒すスタンディングサイドベントもある
⑩フルブレッシング(ドローイン)
最近人気になっているドローイン。息をゆっくりとすべて吐き出して、そのまま腹筋に思い切り力を入れる。力を入れたままま時間が経過した後、一気に息を吸い込む。いつどこでも実行できる。
⑫クランチ《30回×3セット》
ソファーなどの台に両足を乗せ、上体を起こす
【ワンポイント】最近どこのスポーツジムでも一般に行われている運動。
強いカラダをつくる12の鍵、第11回「余分な体脂肪を落とすカギ」は以上です。
連載もいよいよ次で最終回!ラストは「ぐっすり眠るカギ」です。おたのしみに!
- 第1回「身長を伸ばすカギ」
- 第2回「胸を厚くするカギ」
- 第3回「脚を強くするカギ」
- 第4回「体幹を鍛えるカギ」
- 第5回「肩とヒジを強くするカギ」
- 第6回「ヒザと足首を強くするカギ」
- 第7回「握力を強くするカギ」
- 第8回「持久力を高めるカギ」
- 第9回「運動神経を良くするカギ」
- 第10回「視力を良くするカギ」
- 第11回「余分な体脂肪を落とすカギ」
- 第12回「ぐっすり眠るカギ」
この内容は「熱中!ソフトテニス部」27号に掲載したものを再掲載したものです。雑誌のバックナンバーをお求めの方はBBM販売サイトよりご注文ください。