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成長期の今がチャンス!強いカラダをつくる12のカギ 最終回「ぐっすり眠るカギ」

講師●野沢秀雄

PROFILE
のざわ・ひでお/1940年生まれ。京都大学卒業。日本で初めてプロテインを開発。健康体力研究所を設立し、現在は顧問。社団法人日本ボディビル連盟で公認指導員講習会の講師を長年務める。身体作りやトレーニングについてメディアから多くの取材を受け、雑誌や新聞に多数連載を続けている。

睡眠には大きな謎がある

一日の試合や練習、トレーニングなどで身体を使い切った後、ふとんに入ったら「バターン、キュー」とすぐ深い睡眠に入るのが普通です。周囲で大声を出しても、本人の身体をゆすっても起きません。
 なぜ人間は夜に眠り、朝に目覚めるのでしょうか?
 睡眠に関してはいろいろな説があるのですが、活動しない夜にぐっすりと眠ることで、昼間に活動した心身を、リセットする目的が大きいのです。
 携帯やスマホなどは充電しないと動きませんね。人間の脳、内臓、筋肉なども同じで睡眠中に疲労物質が処理され、充電されたように元気な自分に戻るのです。
 睡眠には2種類あります。レム睡眠とノンレム睡眠です(下のグラフ参照)。「寝ている間に身体が大きくなる」と言われますが、深いノンレム睡眠時期にこの効果が大きいのです。もう少し詳しく述べましょう。

「寝る子は育つ」は科学で証明

 身体を大きくするには運動や食事が大切ですが、同時に、睡眠中に身長が伸び、筋肉がつくことも見逃せません。
 昔から「寝る子は育つ」とよく言われます。眠れない子供は発達が遅れがち、遊び疲れて熟睡する子供は大きくなることを、経験的に知っていたのです。
 血液中に含まれるホルモン量を測定できるようになった現在、グラフのようにノンレム睡眠時に大量に成長ホルモンが分泌されることが判明しました。10代前半までは骨の長さを伸ばす上、成人した大人や高齢者でも、ノンレム睡眠時に成長ホルモンが分泌されて筋肉を発達させるのです。特に筋トレをした夜などは活発に出てきます。

ノンレム睡眠に早く入るカギは?

 レム睡眠時は、比較的眠りが浅く、ウトウト夢を見ていることが多いといわれます。脳も無意識に活動しており、夜中に目を覚ましやすいことが特徴です。
 これに対し、ノンレム睡眠は心身ともに、死んだようになります。もちろん心臓や肺など生命は正常に保たれていますが……。
 グラフの通り、通常7時間眠ると、4回ほど深いノンレム睡眠に入ります。しかも最初のノンレム睡眠ほど深く、朝方になれば浅くなります。ということは、布団に入るや否や、グーグーとぐっすり眠れる人ほど健康や体力が大きく得られることになります。
 逆に、いつまでたっても眠れず、寝たとしても浅くて夢ばかり見る人は翌日の体調が悪いことになります。今回はぐっすり眠るためのカギを紹介します。ぜひ実行してください。

10代の身体づくりは一生の財産に

 人間は10代のときに行っていたこと、感じていたことがその後の人生を左右するほど大きな影響を及ぼします。学ぶことが大切なことはもちろん、身体を作るという点でも10代は大事です。皆さんは成長するにつれ骨格が出来上がり、筋肉が発達してきますが、若いときに作った基礎が成人してからも維持されます。
 つまり、今こそ身体を大きくするチャンスです。勉強と同時にスポーツや筋トレで身体を鍛えておけば、健康や体力が一生の財産になります。
 時間は戻せません。後悔しないよう、一日一日を頑張ってください。皆様の成功を心から祈っております。

全身の緊張を取る体操

  1. 床に伸び伸びと横たわる
  2. 目を閉じて息を吸い、フーっと吐き出す
  3. 「左足のつま先、緊張が解けたぞ」とつぶやいて力をスーっと抜く
  4. 3)の左つま先から左ヒザ、左モモと進み、今度は右足で同様に
  5. 次に腕、腹、胸、背、顔の筋肉、目の順に力を抜いていく
ポイント

だらりと力を抜く
目をつむったまま行う

効果

全身の疲労が取れる
イライラした気分が取れる
不眠を解消する

緊張を取る呼吸法


(吐く息を強く長く)
息を7秒吐き、3秒吸う

ポイント

「良いことがある、良いことがある……」
と思いながら呼吸しよう

ぐっすり眠るためのカギ

  • ①昼間に体力を十分使う。
  • ②寝る前にシャワーでなく風呂に10分間ほど入ってよく温まる。
  • ③寝る前に日本茶、コーヒー、紅茶を飲み過ぎない。(これらに含まれるカフェインが目を冴えさせる)
  • ④水分も摂りすぎるとトイレに行きたくなって目が覚めやすくなる。
  • ⑤眠れないときは身体のどこかに力が入っている。イラストの方法で末端から力を抜いてゆく。
  • ⑥吸う息が強いと眠れない。吐く息を強く長くする。
  • ⑦寝るとき、額の上にタオルなどを置いて両眼を暗くすると眠りやすくなる。
  • ⑧目を強めにつむる。かつ、視線を鼻の先端に集めるように意識する。睡眠に集中できる。
  • ⑨数を数えるのは逆効果。
     「良いことがあるぞ」と繰り返す。
  • ⑩脳が活発になりすぎるから、布団に入って本や新聞を読まない。

ぐっすり眠るカギ⑦


寝るとき、額の上にタオルなどを置いて両眼を暗くすると眠りやすくなる。(暗くなるとよく眠れる)

ぐっすり眠るカギ⑧


目を強めにつむる。かつ、視線を鼻の先端に集めるように意識する。睡眠に集中できる。


 

強いカラダをつくる12の鍵、最終回「ぐっすり眠るカギ」は以上です。
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この内容は「熱中!ソフトテニス部」28号に掲載したものを再掲載したものです。雑誌のバックナンバーをお求めの方はBBM販売サイトよりご注文ください。

イラスト◎丸口洋平
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