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【インハイ応援企画】ルーキー対談・内本隆文×因京将 Vol.02「パッシングがすごくて、もう負けたと思った」(全4回)

2016年のインターハイも間もなく開幕する。昨年のインターハイ個人決勝で歴史に残る死闘を繰り広げた内本/丸山(上宮高)vs因/米澤(能登高)。内本隆文と因京将の両後衛はともに早稲田大に進学し、現在はエンジのユニフォームを身にまとって、インカレ日本一を目指す(両前衛は現在、明治大)。11月のアジア選手権の日本代表に選出された内本、全日本シングルスで8強入りを果たした因。注目ルーキーの2人に、インターハイを振り返ってもらいつつ、近況を聞いた。

内本隆文

うちもと たかふみ
早稲田大1年
右利き/後衛、上宮高出身

因京将

ちなみ きょうすけ
早稲田大1年
右利き/後衛、能登高出身

因のパッシングがすごくて、もう負けたと思った

それぞれ、ソフトテニスにかける気持ちをもって早稲田大に進学されたと思うのですが、中学時代や高校時代にソフトテニスへ取り組む意識が変わったなと思うターニングポイントはありましたか?

因:僕は高2のときにU-17に選ばれたことですね。ステップ4からステップ5になかなかいけなくて(注1)、中2、中3と、ステップ4まではいけたんですけど、アンダーには入れなかった。高2でU-17に入れて、そこから少しずつ、自信がつきました。

注1)ステップとは、日本ソフトテニス連盟の競技者育成プログラムのカテゴリーのこと。ステップ1=地域、ステップ2=都道府県、ステップ3=ブロック、ステップ4=各ブロック推薦選手+日本連盟推薦選手が参加する選考会)を経て、ステップ5=全日本アンダー選手(U-20、U-17、U-14)が決定する。

内本:僕は高2のインターハイですね。優勝を狙ってたんですけど、準決勝でめっちゃ情けない試合をして1で負けたんです。そこから、インターハイにかける気持ちが全然変わりました。小中時代にもタイトルを獲ってはいましたが、インターハイは違います。かける気持ちが強かったです。

2014年のインターハイ。上宮高2年の内本は個人3位、団体5位
PHOTO/HIROKUNI KAWAGUCHI

では、あの世紀の一戦と言われる2015年のインターハイ個人決勝を振り返りましょう。まず、因選手。G3-0で圧倒的リードを握っていたときの心境はどんなものでしたか?

因:みんなにも「絶対勝てると思ったでしょ」って言われるんですけど、僕自身は、全然リードしている感じがなかったんです。G3-1の3-0リードになって、つまり3ポイント、マッチポイントがあったんですけど、「いけるかも」という感覚は全然なくて。リードしていましたけど、自分の中では追い込まれていました。

内本選手はどうでしたか?

内本:決勝に行くまでに、(全試合あわせて)僕らは2ゲームしか取られてなかったんで、全然負ける気がしないと思って決勝に臨んだんですが、そしたら一気にG0-3になって、『あれ?』って。そこからは、先のことはぜんぜん考えられなくて、「目の前の一本をどう取るか」だけを考えてました。

試合時間は1時間を超えていたと思うのですが、やっていて長く感じましたか。

因:G3-0まではあっという間でした。ベンチに戻ったときは「あれ、もう3-0?」みたいな感じで。僕らがそんなリードしているなんて、と半信半疑でした。そこからは、長かったです。4ゲーム目からは、1ポイント取るのが本当に大変で。そこからはもう、すごい、長く感じました。

内本選手は、試合中に負けるかもと思いましたか?

内本:G0-3のチェンジサイズのときは思いました。もう、全然、点が取れなくて。(因選手を指差しながら)すごかったんですよ、パッシングが。もう終わったと思いました(笑)。でも、4ゲーム目がデュース1回で取れて。その次のゲームでめっちゃ競って、でも何とか取れたんです。そこからは、吹っ切れて、自分から攻めていけました。

試合が終わったときの心境はどうでしたか?

因:めっちゃ悔しかったです。退場するときに僕は下を向いて歩いていたんですけど、試合を見ていた観客の人が、大きな拍手をしてくれたんですよ。「いい試合だった」「本当にいい試合だったぞ」って、みんな言ってくださった。そう言われると逆に、すごい悔しさが……こみ上げてくるものがあって。だから、退場するときが一番、苦しかったです。

内本選手は、特別な思いで挑んだインターハイでマッチポイントを決めた瞬間はどうでしたか?

内本:僕はもう「よかったー!」という気持ちが大きかったですね。

決勝で敗れた直後、下を向いて歩く因。名勝負を繰り広げたグッドルーザーに観衆が拍手を送る
PHOTO/HIROKUNI KAWAGUCHI

2015年のインターハイ個人決勝の死闘を制した直後の内本
PHOTO/HIROKUNI KAWAGUCHI

おふたりは世代のトップを走る選手ですが、同世代で意識している選手はいますか? ふたりとも後衛なので、苦手な前衛など。

因:内田(理久/三重高3年)ですね。

内本:僕も内田。トラウマがよみがえりました(笑)。高校選抜の決勝で、10分くらいで0負け。それからトラウマです。一学年下で、なんというか……。

因:(ペアの)田邉(雅人)がまた、内田をうまく使ってくるっていうか。

内本:堂々としているというか、生意気というか(笑)。田邉も、前衛を使いながら、自分で決められるのもあって。

因:そう。だから自分の前衛はやりづらそう。

内本:しかも内田は、点を取られても、笑ってるんですよ。あれはヤバいです。僕がこう、レシーブを待ってたら、前で内田が「フフーン♪」みたいな顔してる。

因:左手でラケットを持ってて、反対側の手はこうで(内田選手の真似をしつつ)、グリップを見て、顔はニヤニヤしてる。内田は頭がいいから、見透かされてる感じが……。

内本:分かる。バカにされてる気するよな(笑)。「どうせここやろ!(ボレー)」「ハイ次こっち!(ボレー)」みたいな。2人も、カワイイ顔してるけど、テニスはやらしいですね。

三重高3年、今年のインハイでも注目の内田理久 PHOTO/HIDETO IDE

対談INDEX
取材/内田麻衣子・Q本かよ
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