2016年のインターハイも間もなく開幕する。昨年のインターハイ個人決勝で歴史に残る死闘を繰り広げた内本/丸山(上宮高)vs因/米澤(能登高)。内本隆文と因京将の両後衛はともに早稲田大に進学し、現在はエンジのユニフォームを身にまとって、インカレ日本一を目指す(両前衛は現在、明治大)。11月のアジア選手権の日本代表に選出された内本、全日本シングルスで8強入りを果たした因。注目ルーキーの2人に、インターハイを振り返ってもらいつつ、近況を聞いた。
対談INDEX
- 2016.07.14 — Vol.01「雲の上の存在から、負けたくないライバルに」
- 2016.07.16 — Vol.02「パッシングがすごくて、もう負けたと思った」
- 2016.07.18 — Vol.03「どんな陣形でも、対応できる選手になりたい」
- 2016.07.20 — Vol.04「船水さんは、めっちゃリスペクトです!」
内本隆文
うちもと たかふみ
早稲田大1年
右利き/後衛、上宮高出身
因京将
ちなみ きょうすけ
早稲田大1年
右利き/後衛、能登高出身
船水さんは、めっちゃリスペクトです!
早稲田大には錚々たるメンバーがそろっています。軟式庭球部の一員になって、今どう感じていますか。
内本:すごくレベルが高いですね。レベルが高いからこそ、吸収できるものがいっぱいあると思います。先輩からはもちろん、同級生でも因とはテニスの話もできるし、吸収できるものは吸収して、助け合ってやっていきたいなと思ってます。でも、因にストロークで「コレどうしたらいい?」と聞いても、「知らねえよ」とか言って、けっこう素っ気ないんですよ(笑)。
因:だって(内本に)もう教えることなんてないじゃないですか!! 聞かれると、逆に「なめてんのかな」と思いますよ(笑)。僕は(内本に直接)聞かないです。でも、試合を見て、いいなと思って、吸収したいことはいっぱいあります。
お互いに、プレーヤーとして最もうらやましいところは?
内本:パッシングですね。(因選手のパッシングは)前衛が触れないですからね。
因:いちばんすごいと思うのは、ゲームの中でシュートもロビングも自由自在なところです。僕は結構、打ってたら打ち続ける、という感じなんですが、(内本は)打ってるところからロビングなど、同じフォームで自在に打ち分けてくる。
内本:でもまぁ、身体つきが全然違うんで。因の方が断然パワフルです。
早稲田大の先輩で意識している選手は?
内本:船水(颯人)さんです。
因:船水さん……。
内本:本当にすごいです。
因:大学に入って、日に日に「スゴイな」って思っています。1日練習が17時に終わり、それから学校のジムに行って、ウェイトトレーニングを1時間くらいして、僕たちは船水さんが終わるのを待っていて、さらに19時くらいまで一緒に練習するんです。それもすごい地味な練習をするんですよ。めっちゃ基礎というか。
内本:手投げのボールを打ったり。
因:で、そこから、コートをずっと走る。
とはいえ、ふたりとも高校時代にかなりハードな練習をされてきたわけですよね? 船水選手はそれを上回る練習量ということですか?
内本:高校のときは、やっぱり言われた練習するだけというか。やらされてるわけではないですけど、こうやれと言われて練習していたところもありました。でも船水さんは、誰にも何も言われず、自分で自分を追い込んでいる。すごいです。
内本と同じチームになって、今度こそ日本一に!
早稲田大の普段の練習内容を教えてください。
内本:平日は自主練です。土日は集まってやります。自主練のときは、ペアや相手を見つけて、自分でメニューを考えてやります。
(自主練は)強制ではない。やらなくても?
内本:いや、でも、します!
因:事情があるときは……ですが、でも、します!
高校時代と練習に関する取り組みやライフスタイルの変化もあると思いますが、戸惑いはありましたか?
因:練習メニューが毎回しっかりあるわけじゃないということ。あとは、一人暮らしになったので……。
内本:僕もです。(因選手の家と)近くて、よく遊びにいったりしてます。カラオケに行ったり。
大学生活は楽しいですか?
因:僕は楽しいです。
内本:僕も楽しいです。高校時代は練習が毎日夜8時まであって、毎日同じような繰り返しやったんで。食べて寝て練習、食べて寝て練習みたいな。でも今は、気分転換に夜、出かけたりもできる。
因:先輩が連れていってくれたりします。
内本:先輩は、テニスや勉強はめっちゃ真面目なんです。遊ぶときは遊ぶ。メリハリがあるので、楽しいです。
今シーズンの目標は?
内本:全日本タイトルを獲りたいですね。一般の大会で結果を残したい。そしてインカレは、特に勝ちたいですね。
インカレ4連覇のチームの核となっていた船水(雄太)/九島(一馬)が卒業したチームで、ふたりのスーパールーキーへの期待は大きいと思います。「スーパールーキー」と呼ばれることについてはどう感じていますか?
因:僕は本当に全然なので。こっち(内本)は、スーパールーキーですけど。
内本:おいやめろや(笑)。
因:あのインターハイは、調子良くて、自分でもいい試合ができたなと思ってるんです。あの個人決勝で、G3-0リードからまくられるという、なかなかドラマチックな大敗を喫したからこそ、有名になっていると思うんですよね。あそこで4-0とか4-1で勝っているよりも、負けたからこそ、名前が売れているんじゃないかって。自分で思ってます。
松井秀樹の5打席連続敬遠みたいな?
因:え!?
いや、なんでもないです。
因:ともかく僕は、インターハイしか結果と言えるような結果がないんです。なのでこれから継続して頑張っていくのが目標です。全然「スーパー」じゃないので、まず、そこです。
内本:でも僕は、インターハイでは、後衛としては全然(因に)負けていたと思ってます。
因:やめてよホントに(笑)。
内本:いや本当にこれは思ってる。真剣に。
因:……。
とても、いい関係ですね。(因選手は)インカレは、どうですか?
因:もちろん勝ちたいですけど。目標としては、僕「日本一」になったことが一度もないので、日本一になってみたいなと思います。
全国ではずっと内本選手の壁があったわけですね。
因:そうですね。ハイジャパ、インハイ個人、インハイ団体……全部当たってますからね。
内本:インターハイは団体でも(上宮と能登は)当たったもんなぁ。僕、(個人戦の次の日に行われた)団体戦のときに、先生に「因と当てるぞ」って言われてたんですよ。次は絶対に負ける、嫌やなぁって思っていたら、オーダー外れて(因が)1番に出てきて、当たらんかったんです。良かったぁって思ってました。
因:僕も内本と当たるの嫌やったから、外れたとき「ラッキー!」って思いましたよ。だって僕、(能登高監督)の米澤(真琴)先生に「内本いけるか?」って聞かれて、「イヤぁ…」って首傾げましたからね(笑)。
内本:僕は、さすがに「嫌」とは言えなくて(キリッとした顔で)「行けます」って言ったんですけど、内心、外れろって思ってました(笑)。
因:でも今は、内本と同じチームになったので、今年は「日本一」になりたいです。
最後に、サインと一言をお願いします。ところでサインって、みなさんいつ作られたんですか?
因:僕はインターハイが終わってからです。サインくださいって言われるようになって。でも(ペアの米澤)要は、僕より先に考えてたんですよ。インハイ中に「サインください」と言われたときに、横でササッと書いていて「えぇっ!!」ってなりました。僕だけ、「因京将」と名前を書いたんですよ。
内本:署名やん(笑)。一言、なんて書こう?
因:目標でいいんじゃない?
内本:「日本代表になる」やな。
因:僕は「打倒、内本!」って書こう。
内本:えっ、じゃあ俺も「打倒、因!」にすればよかった。
因:もう倒してるやん!勘弁してや(笑)
内本:(笑)。
本日はありがとうございました。
あとがき
取材時はまだ大学入学したての春であったが、2人はすでにチームメイトらしい軽妙なやりとりで楽しくインタビューに答えてくれた。対談ではまだあどけなさの残る10代の顔を見せてくれた2人だが、「日本代表になる!」を目標に掲げた内本選手は先日発表されたアジア選手権大会の日本代表チームにさっそく名を連ねているし、因選手も全日本シングルスでは日本代表である水澤悠太(NTT西日本広島)を0で下すなど、その存在感を大きく示した。2人のスーパールーキーの今後の活躍に期待したい。
対談INDEX
- 2016.07.14 — Vol.01「雲の上の存在から、負けたくないライバルに」
- 2016.07.16 — Vol.02「パッシングがすごくて、もう負けたと思った」
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