2015年は、世界選手権の本番2週間前に緊急招集され、大会唯一の金メダルがかかった国別対抗決勝で、シングルスを制して日本を勝利に導いた後衛・船水颯人(早稲田大2年)。
2016年、11月に千葉で行われる第8回アジア選手権では国別対抗のメンバーに選ばれ、ダブルス(/上松俊貴)、ミックスダブルス(/佐々木聖花)に出場する。8月のインカレでは、大学対抗(団体)、ダブルス、シングルスの3冠という偉業を達成した大学2年生。19歳。
世界で感じた「フィジカルの差」を埋める努力を続け、早稲田大の後輩・内本隆文からも技術を学び、進化を止めない。目を見張る成長は「自分を育てる」意識の高さにある。
フィジカルを高めて、世界にチャレンジを
――昨年(2015年)の世界選手権は、大会直前の招集で、大一番に勝って結果を残しました。それも、今年のためのサンプルになりますか。
颯人:もちろん去年の経験はすごく大きいのですが、合流したのが直前だったので、そこにピークを持っていく準備という意味では……(経験にはなっていない)。その時に持っているものを出すことだけ考えていました。
インカレで調子が良かったと言いましたが、それがたまたま良かった、というのではあまり意味がない。意識していい状態に持っていくことができた――次は、それを意図的に繰り返し作れるようにならないと。
アジア選手権に向けては、その前にある天皇杯がカギになると思っています。
天皇杯に向かって、3週間かけて一気に上げていく方法をとります。それがうまくいったら、天皇杯(10月21日~)とアジア選手権(11月17日~)のインターバルに、前の3週間と同じ上げ方を活用できる。うまくいかなければ、修正版でその3週間を過ごす……。
――そこまで意識的に、コンディションを作るんですね。
颯人:去年、世界選手権に初めて出してもらうことができて、感じたのはフィジカルの差でした。パワー、スピードですね。今年は技術よりもフィジカルの練習を続けています。
――それは、打つことに関するパワーとか、球のスピードですか?
颯人:いえ、それよりも、走ること、フットワークの面でのパワーです。テクニックに関しては、去年も自分なりにできたイメージがあります。ただ、走りのフィジカルの差が大きかった。そこが高まれば、もっと強くなれると感じます。
――船水選手は、自分を成長させる、自分を育てる術を強く意識していますね。お手本になる人がいたのでしょうか。
颯人:いろんな方の刺激を受けています。日本代表の長江(光一)さんの『軽く見せる』プレーはすごい。すごく難しいことを、さらっと、すごく簡単なことのようにやる。きっと相当練習していると思うんですが、そう感じさせない。もし、自分が渾身の力で打ったボールが、相手にそうやって『軽く』取られたら、すごくショックじゃないですか。
もう一方で、ずっと気を付けているのは、人のアドバイスに流されないようにすること。
もちろん、いろいろな人の意見に耳を傾けるのは大事です。自分が今やりたい、こうなりたいと思うものに対する取り組みや、気持ちがぶれるのはもったいないと思う。僕はずっと我流でやってきたし、そうありたいと思ってたんですけど、……今年、内本に『流し』を習うことができたのは良かったと思います。
――あらためて、船水選手は、どんな選手を目指しているのでしょう。
颯人:型に嵌まらないプレーがしたい、誰も見たことがないようなテニスがしたいと思っています。
PROFILE
ふねみず・はやと/1997年1月24日生まれ、19歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石鳥城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大2年
インタビューの全文は現在発売中のソフトテニス・マガジン11月号に掲載