11月下旬、アジア選手権開催中のことだった。
会場のフクダ電子ヒルスコートで、「ちょっとちょっと、この人呼び出して!」と男性スタッフから声をかけられ、英語でアナウンスを始めた女の子がいた。
彼女は岡崎由衣さん、千葉県出身の東京大学教養学部3年生だ。今回、アジア選手権に参加した多くのスタッフの1人で、ボランティアで国際・渉外委員(通訳)の立場を担った。
手伝うことが決まったのは大会からおよそ1か月前のことだったという。もともと通訳のボランティアは別にいたそうだが、テニスが分かる人もいたほうが良いと声がかかったそうだ。主に英語でのアナウンスや、外国人の方からの質問に答える役割を担っていた。
岡崎さんは、英語検定2級(高校卒業程度)は持つものの、大学に入ってから英語の資格を特別に取得したことはなく、英語が特別秀でているわけではないと謙遜していたが、東京大学の入試を突破しているだけに、流暢な英語を操っているという印象を私は受けた。
小学2年から浦安ジュニアでソフトテニスを始めたという岡崎さんは、専大松戸高1年で千葉県64強までは進出した経験があるという。その後、現役で私立大学へ進んだものの、東大への思いは尽きず、大学2年に進めるように単位を取りつつ、東大の受験勉強も続けるという1年を過ごし、2度目のチャレンジで見事、東大の6教科7科目の試験を突破! 『赤門』をくぐった。
在籍大学の勉強もしつつ受験を続けたガッツある岡崎さん。そんな彼女が所属する東大ソフトテニス部は現在、男子部は15人部員がいるものの、女子はたった2人だけ。現在3年の岡崎さんと1年生だけだという。
普段の部活ではもちろん男子部員と活動できる場面もあるだろうが、今年1年生が入るまで、女子の試合となれば出場できるのは自分だけ。1年生が入っても2人、1ペアだ。1人のときはシングルスに出場したり、国公立7大学戦など、他の大学も人数が少ないような大会には選手を借りて出場するなど、大変なこともあったようだ。それでも続ける。それだけソフトテニスが楽しく、好きなんだろうな。
その活動のなかで、ドイツオープン大会に遠征したり、こうしたアジア選手権での機会に恵まれるなど、充実した学生生活もうかがえるが、岡崎さんは「ソフトテニスの醍醐味は団体戦。人数を増やして、団体戦に出てみたい」と、夢を語っていた。
中学部活の人口では最大数を誇るソフトテニスだが、その後高校や大学、社会人などと進む中で、すべての人が競技を続けているわけではない。むしろ、中学での経験者人数が多い分、今はやっていないという人も多いのではないだろうか。
もしも今、東大生でソフトテニス経験者の方がいたら、ソフトテニス部の門をたたいてみては? そして、ソフトテニス経験者の受験生、来春ソフトテニス部が待っています! 入試は大変でしょうが、桜咲く春を目指して。
もちろん、東大に限らず受験生のみんな、春からの新生活で、部活でも同好会でも、ぜひ、ソフトテニスを続けることを目標にしてください。きっと、多くの先輩たちがみんなの入学を待っているはず!
そしてもちろん、社会人でソフトテニスから離れて久しい方も、近くのソフトテニスクラブを探して思いきって飛び込んでみたら、新しい発見があるかもしれません。