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心のウォームアップとストレッチでゾーンに入る練習をしよう

緊張しないタイプの、メンタルの上げ方

本番で緊張するというお悩みが多い中、まれに本番の方が得意な子もいます。本番が得意な子たちの問題点は、普段の練習に身が入らなくてサボることです。そこそこ能力が高く、本番で物怖じせずにできてしまうものだから「練習しなくていいじゃん」と練習時に緊張感がなくなったりします。

このタイプは、ぐいぐい乗せていく必要があります。ノリの良い音楽をかけたり、ダンスをして楽しい気分をつくったり、ゲームをして気分を乗せるなど。ラグビーのハカなどもそうですね。このノリをつくっていくトレーニングをサイキングアップと言います。心のストレッチに対して、心のウォーミングアップです。

中高生など育成年代の練習前のウォームアップやストレッチは、カラダが中心で「心」に関してはノータッチでした。ストレッチをして「ハイ練習」がほとんどです。着替えているときやカラダのストレッチに入る前に、心のストレッチや心のウォーミングアップを行い、それからカラダのストレッチ、ウォームアップに取り組めば、心身調和がとれて、練習の質も上がり、試合での実力発揮につながっていきます。

サイキングアップで気持ちを乗せる、リラクセーションでリラックス状態をうまくつくっていくと、理論上はゾーン(選手が最も力を発揮できるリラックスと緊張の中間)を作り出すことが可能です。ゾーン状態はプロの選手でも作り出すことは難しいのですが、だからこそ大事な試合でゾーンに入れるようにトレーニングを日々やっていく必要があるのです。

リラクセーション&サイキングアップあれこれ

緑を見る(リラクセーション)

視野の80%以上を緑にするとリラックスできます。空、好きなマンガなど、見慣れたものを見るのもいいですね。

BGMを聞く(リラクセーション&サイキングアップ)

リラックスしたいときは1/f(エフぶんのいち)のゆらぎの音楽がおすすめです。自然界にある波の音、小川のせせらぎなどは人間が最もリラックスできるリズム。逆に盛り上げたいときはアップテンポの曲がいいですね。『ロッキーのテーマ』など、サクセスストーリーの曲だとポジティブなイメージが乗っかっているので効果も大きいです。これを古典的条件付けと言います。

トイレに行く(リラクセーション)

トイレのジャーと流す音にはリラックス効果があります。「出ないのにトイレに行きたくなる」のは、無意識に流す音が聞きたくなっているからなんですよ。ちなみに英語のフラッシュ(流す)はメンタルの専門用語で「リラックス」や「きりかえ」という意味。これも古典的条件付けです。

メンタルトレーニングお悩み相談室

Q.試合の前日はどう過ごせばいいですか?

A.【大儀見さんの回答】
ぐっすり寝ることです! 試合の準備は試合の前々日までに終わらせておいて、試合の前日は寝るための工夫をします。アロマを試してみたり、手足を温めたり、ジャスミンティーを飲んだりして、いつも通り眠りましょう。緊張で眠れなくても気にする必要はありません。横になっているだけでカラダは休まります。

試合の前の日に緊張してしまう人は、試合をイメージしすぎてしまうのでしょう。マジメなタイプに多く、いろいろ考えすぎなんです。試合前日にどんなに頑張っても筋力はつきませんから、いさぎよく寝てしまいましょう。

ちなみに、試験前の勉強も試合と同じで、一夜漬けは効果ありません。記憶というのは頭の中で整理されて再生されるまでに時間がかかります。一夜漬けで覚えたことが再生されるのは次の日の午後です。ちょうど試験が終わった頃に「あそこの答えはこっちだった」と思い出し、ブルーになります(笑)。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。
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