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「生きたボール」を打つためにガットはゆるく張る

「人に借りたラケットではプレーできない」と語る船水颯人。道具の調整も良い準備の一環。自分の手足となるラケット、シューズには特にこだわりを持っている。大学に入ってから、ガットのテンションを下げたのは「生きたボールを打つ」ため。果たして「生きたボール」とは?

ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第6回は、道具の調整について。

船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大

2016年インカレのダブルスで、ガットを見つめる船水颯人(右)

試合は常に張ったばかりのガットで

――昨年末に取材したとき、メーカーの方と念入りにラケットのテストをしていました。道具へのこだわりは強いですか。

準備の一環だと思います。僕の場合、ガットは1試合に1回は張り替えます。特に夏の時期はすぐ伸びてダメになるので。大会には、4、5本のラケットを持参し、常に張ったばかりの状態で試合に臨むようにしています。

これはルーティンの話になるのですが、試合のときは朝練を終えてからグリップを巻き直すんです。そうすると、新鮮な気持ちでゲームに入っていけるので。感覚が悪いときは、巻き直したグリップを試合まで握らないようにして、コートに入っています。これも緊張をほぐす手段の一つです。感覚が悪いと不安になりますから。

――ガットの張り方は?

僕はゆるく張っています。高校生は硬く張っている人が多いと思いますが、ゆるく張ってもうまく打てるようになるのが理想だと思います。それが技術向上につながるはずです。

僕自身、大学に入ってからポンドを下げました。ゆるいガットはボールが飛びすぎてしまうので難しいのですが、それをコントロールできれば、「生きたボール」を打てるようになります。力んでフルスイングすると、うまく打てないんです。スピードはあるけど、死んだボールになりやすい。

――「生きたボール」は打ち返しにくい?

もちろん。勢いがあるので。ボールが死んでいれば、速いだけなので簡単に打ち返せます。振り遅れることもない。ワンバウンドしてから、グッという伸びがない。

「生きたボール」はカラダ全体で打つイメージ

――「生きたボール」はどうすれば、打てるようになるのですか。

力任せではダメです。力を抜いて、タイミングを合わせて打たないと。僕の感覚ですが、「生きているか」、「死んでいるか」はボールを受ければ、すぐに分かります。大学の後輩にも「球が死んでるよ」と助言するのですが、この感覚はあまり分かってもらえないんです(笑)。カラダの力を抜いて打つ、足腰の強さも必要。手だけの力ではなく、カラダ全体を使って打つイメージですね。

――強い足腰で踏ん張ってボールを打つこともあって、シューズは……。

月イチのペースで壊してしまうので(笑)、すぐに取り替えています。地面に擦って、横に穴が空いてしまうんです。

――シューズの選び方は?

一番は自分のサイズに合ったものを選ぶことです。僕も大学に入る前までは27.5センチを履いていたのですが、実は足に合っていなかった。ナショナルチームで足のサイズを測ってもらったら、大きいサイズを選んでいたことが判明して……。足の先が余っていました。

今は26.5~26センチくらいです。シューズのサイズ選びひとつで、フットワークにも影響してきます。自分のサイズに合ったものを選ぶことは大事です。高校時代の僕も含め、大きいサイズを選びがちなので、注意して選んでみた方がいいと思います。

船水颯人、道具の調整
①ガットは試合ごとに張り替えたものを
②「生きたボール」を打つためガットはゆるく張る
③シューズは足に合ったサイズのものを選ぶ

ハードなフットワークで、月に一度はシューズを消耗するという

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次回#07は2月23日(木)に公開予定です。

取材・構成◎杉園昌之 インタビュー写真◎阿部卓功 プレー写真◎矢野寿明
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