練習は量よりも質。どれだけ充実した一日を過ごせるかで差がつく
【WEB連載】船水颯人『JKTへの道』#10 早稲田大の新シーズンと日々の練習
船水颯人は4月から早稲田大の3年生になる。2015年4月、兄・雄太が主将を務める早稲田大軟式庭球部の一員となり、4年生の練習への取り組みから多くを学んだという。「1年生はプレッシャーを感じずに自由にプレーしてほしい。重圧は僕らが背負う」。今年1年生になるすべての人に響く、船水先輩からのメッセージ。
ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第10回は、早稲田大での新シーズンと日々の練習について。
船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年(4月~)
兄たちを「勝たせてあげたい」
――2017年度、早稲田大はインカレで6連覇という記録が懸かっています。
※2016年度のインカレで早稲田大は男子史上初の5連覇を達成。なお女子は2009年度、東京女子体育大の7連覇が最多。
もちろん、勝ちたいという気持ちはあります。ただ、それを強く持ちすぎるのはよくないです。いつも言っていることですが、緊張を和らげるためにも、肩の力を抜くことは必要だと思っています。
今年は下級生メンバーが中心になってくると思うので、試合に出る選手は責任を持たないといけません。公式戦に出る人、出ない人はいると思いますが、チームメート同士、信頼し合えるように、普段の練習から意識していきたいです。コートに立てない人が「この選手だったら任せてもいい」と思えるようにしないといけない。
――船水選手は、どのような気持ちでコートに立っているのですか。
早稲田大のチームとしては、最上級生の代を勝たせたいという思いで戦っています。僕が1年生のときは4年生に主将の兄(船水雄太)がいました。一緒のチームで戦うのは初めてだったこともあり、「勝たせてあげたい」という気持ちは強かったです。
実際に4年生の練習への取り組みなどを見ていると、そういう思いは強くなりました。この気持ちは、今も変わりません。
「3年間しかない」という気持ちで取り組む
――船水選手自身は、どのように練習に取り組んでいるのですか?
量よりも質が大事です。単純に練習量を増やせばいいというわけではない。「練習の質を上げるためにはどうすればいいのか」と考えることが、最も大事だと思います。何事も、考えて、実行しないと。
練習も工夫が必要です。大学は4年間しかありません。本当に無駄な時間はないんです。一日一日が勝負。それは高校、中学も同じです。「3年間ある」ではなく、「3年間しかない」という気持ちで取り組んだほうがいい。どれだけ充実した一日を過ごせるかどうかで、差はつきます。
学生生活ではいろいろと誘惑もあると思いますけど。もちろん、息抜きは必要ですが、テニスコートに立てば、気持ちを切り替えないといけません。僕の場合、自分の世界に入っています(笑)。
――テニスコートに来て、すぐに頭を切り替えられるのですか?
テニス以外に欲がなくて(笑)。それでも、充実していますよ。大学に入ってから、特にテニスを楽しめています。
――ストイックな取り組みはチームにも伝播しますか?
「見ている人は、見ている」と思っています。そういう人が増えてくれば、チームの状態も良くなります。単純に「声」を出せばチームの雰囲気が締まるかと言えば、そうではないと思います。言葉にしなくても、伝播していくものはあります。
早稲田大の強さは、そういう人たちの集まりだからです。目標を高く持ち、それぞれが努力しています。だから僕も、この大学を選んだんです。
――今年は上松俊貴(岡山理大附高)、内田理久(三重高)といった有望な1年生が入ってきます。
僕の個人的な意見ですが、1年生にはプレッシャーを感じずに自由にプレーしてほしいです。重圧は僕らが背負います。大学に入って、環境が変わると、きっと迷いも出てくるでしょう。少しでも不安を軽減できれば、と思います。
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次回は3月30日(木)に公開予定です。