練習後は、試合動画をチェックするという船水颯人。先入観が強くなるのでライバルの試合は大雑把に見る、自分の悪かったプレーこそチェックする。高校時代まで人の意見はあまり聞かなかったというが、今は積極的に助言を求めるようになった。「大学には良いお手本がたくさんいるので、意見を聞かないと損」。
ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第13回は、動画の見方と身近なライバルとの関係について。
船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年
調子が良かったときの動画はあまり見ない
――前回の連載ではコンディションが悪いと、練習をスパッと切り上げて帰ることもあると話していました。練習のあとは、何をしているのですか。
オフの時間は、試合の動画を見たりしますね。これって、オフになっていないですか(笑)。対戦相手の映像をチェックしたり、気になっている選手のプレーを眺めています。あまりのめり込んで見てしまうと、先入観が強くなるので、そこは気をつけています。
――先入観が強くなるとは?
いざ試合になったときに「次は、このコースを狙ってくるんじゃないか」と考えてしまうので。僕の場合、それがマイナスに働いてしまうんです。
そうなると、相手の思うツボ。だから、大雑把に見るようにしています。1試合を通して、フルで見ることはないですね。
――対戦相手だけでなく、自分のプレー映像も見ますか?
もちろん。時間があれば、見ています。
――自分の、どのようなプレーの映像を?
「なんか、感覚が悪かったな」というプレーですね。そのショットでポイントを取れていたとしても、しっくりこないときがあれば、映像でチェックします。むしろ、調子が良かったときの試合は、あまり見ないんです。チェックするのは内容が気になるときばかり。なるべく、その実感が残っているときに映像で再確認するようにしています。
――ポイントを取れても、納得できないショットがあると。
たまたま点は入ったけれども、「それで本当に良かったのか」と思い直すことが大事です。結果が出ると、つい流してしまいますが、それではレベルアップできません。あらためて気になる場面を見返し、ほかの選手と比較して見ると、自分の劣っている部分に気が付くんです。タイミングの取り方、タメのつくり方とか。これまでも、そうやって修正してきた点は数多くあるので。
切磋琢磨する存在がいること
――後輩や同級生に助言を求めるとき、プライドは邪魔しませんか。
高校時代までは人の意見を素直に聞かず、「分かっているよ!」と思いながらプレーしていましたが、大学に入ってからは変わりました。やっぱり、柔軟性も必要です。1人では限界があります。大学には良いお手本がたくさんいるので、意見を聞かないと損です。
早稲田大は、それくらいすごい選手がそろっています。いまの環境は生かさない手はないですよね。もちろん、同じ大学のチームメートでもライバルなので、そこまで詳しくはレクチャーしてくれませんよ(笑)。
後輩の内本隆文にもよく意見を聞きますが、「それでいいと思いますよ」とさらりと言われたりもしますね(笑)。彼からはいい刺激を受けています。
――身近な良いライバルですね。
中学時代はずっと勝てなかった相手ですから。チーム内の競争で、内本や安藤(優作)に負けたくない、勝ちたいという思いがあるのも、今の僕のモチベーションのひとつになっています。これからも、さらに高め合っていくチームをつくっていきたい。切磋琢磨する存在がいるのと、いないのとでは、大きく違います。仲間にはとても感謝しています。
安藤や内本とは教え合うということは、そんなにないんです。特に内本は、これからの早稲田を背負っていく中心人物でもあるので、もっと成長してほしいですし、もっとうまくなってほしいと思います。
――ライバルの成長は自分の成長にもつながると。
その通りですね。僕は根っからの負けず嫌いなので。
船水颯人の試合動画の活用法
①相手の動画はコースの狙いを確認する程度
②自分のしっくりこなかったプレーを確認
③ほかの選手と比較して劣る部分を修正
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