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【上松俊貴×内田理久】「高校で勝つのは基本ができる選手。技術はもちろん食事と睡眠も大事」#04(全4回)

2016年アジア選手権で日本男子史上初の高校生ダブルス王者に輝いた上松の勝つために必要なこととは? 写真◎川口洋邦

高校シーンでトップに上り詰めたチャンピオンたちに『勝つために必要なこと』を聞くWEB連載シリーズ。

今春、早稲田大に入学した世代トップ前衛の上松俊貴(岡山理大附高卒)と内田理久(三重高卒)は、ともに中国地方出身で、小学生時代から全国の舞台で戦ってきたライバルであり、高校ではそれぞれインターハイ高校選抜で日本一の座を勝ち取っている。小中と全国制覇を成し遂げた2人にとっても、簡単ではなかったという高校の頂への過程で、どんな経験をしたのか。勝つために本当に必要な3つのこととは?

【上松×内田】対談(全4回)の第4回は勝つために必要な3つのこと、後編。

上松俊貴(早稲田大1年)
うえまつ・としき 1998年6月11日生まれ。岡山県出身。身長181cm、右利き、前衛。岡山Kids(小1)→岡山理大附中→岡山理大附高→早稲田大。2017年ナショナルチーム
高校時代の主なタイトル◎ハイジャパシングルス連覇(2015、16年)&ダブルス優勝(2016年)、インターハイ個人優勝(2016年)、アジア選手権ダブルス優勝(2016年)
内田理久(早稲田大1年)
うちだ・りく 1998年5月25日生まれ。島根県出身。身長179cm、左利き、前衛。浜田ジュニア(小1)→浜田第一中→三重高→早稲田大。2017年全日本U-20チーム
高校時代の主なタイトル◎高校選抜優勝(2015年)、国体優勝(2016年)

 

 満足したらそこで終わり

――『高校で勝つために必要なこと』、上松選手の3つ目は――。

上松 『常に高い目標を持ち、挑戦し続ける』。僕の場合、高3のインハイで個人優勝できたのですが、そこで満足したら、そこまでで終わってしまう。だから、昨季はインハイV→天皇杯V→アジア選手権Vと思って取り組んできました。常に高い目標を持ってプレーをすると、モチベーションも自然に上がってきます。

僕が中3のときにナショナルチームに選出されたのは、成長を見込まれたからだと思うんです。若いうちから活躍してほしいという周囲の気持ちに応えていきたい。若くてもタイトルを取れる、前例を覆す、という思いで、視野を広げて高い目標を掲げてきました。

そういう考え方で取り組み、ハイジャパ2冠(男子史上初)、アジア選手権ダブルス優勝(日本代表史上初の高校生V)、東京インドア優勝(高校生初V)と、どれも史上初という言葉がつく結果につなげることができました。これも、高い目標を持ち、挑戦し続けたからだと思っています。

2017年1月開催の東京インドアで史上初の高校生優勝を成し遂げた上松(/本倉健太郎)。本倉は明治大に進学 写真◎井出秀人

――これだけの結果を今の年齢で達成しましたが、今後の目標は?

上松 国際大会を照準とすると、パワーの強化、1本の正確性……などパフォーマンスをもっともっと高めていきたいです。

――自分なりの考えを持って、それを体現してきていますね。

上松 高校時代、監督の大橋(元司)先生から「やらされるな」「高校だけではなく、高校を卒業したあとも成長できる心を持て」と言われてきました。

僕自身、やんちゃな面もあって、その部分で勝負に勝つこともできたと思うのですが、気持ちや考え方を自分なりに変えてきたことで、成長できたと思っています。特に、高1、高2に比べたら、やはり高3のときには人間として成長できたんじゃないかなと。

番狂わせは気持ち次第

――ほかに『高校で勝つために必要なこと』はありますか。

上松 技術的なことでいえば、高校時代は速いボールにあこがれを持つ選手が多いかもしれませんが、基本的なことができる選手こそが勝てるのだと思っています。言い方を変えれば、勝ちたければ基本を忘れないということ。そうすれば、おのずと上手になっていくのではないでしょうか。

身体のことでいえば、ケガをすると、その1シーズンを棒に振ってしまう。治ってから一からやり直すのでは、時間がもったいなさすぎる。だからこそ、ケガをしない身体をつくることが重要だと思います。

あとは僕自身の経験上、食事と睡眠は非常に大事です。食事のバランスが、身体をつくります。また、睡眠については、僕はいくら練習で遅く帰ったとしても11時には寝るようにしていました。1日1日をしっかりリセットすれば、集中力も高まり、テニス、私生活すべてにつながってくると痛感しています。

早稲田大1年となった上松。全日本シングルスは16強 写真◎宮原和也

――内田選手は――。

内田 僕が最後に挙げるのは『絶対に気持ちで相手に負けない』です。これも経験談なのですが、高3の最後のインハイ団体(準々決勝)で東北高に負けたんです。何がダメだったのか、振り返ったときに「気持ちで引いていた」と思いました。そのシーズンに入る前のアゼリアカップでも負けていたのですが、技術ではなく、気持ちで負けていた。

選抜で高田商業高と対戦した(準々決勝)のですが、このときも気持ちが勝敗を分けたんだと思います。逆に、高校最後の国体(決勝)では高田商業高(奈良)に勝てた。「最後だからこそ、勝ちたい」と強く思い、その気持ちが勝因になりました。

高校生って、特に男子では番狂わせがあると思うんです。僕自身、1年のインハイ個人で3位に入りましたが、2年のインハイ個人では初戦で負けてしまいました。このとき、まさに顔面蒼白で。相手はがむしゃらに向かってきて、僕らが気持ちで引いてしまった。

『相手に気持ちで負けない』というのは当たり前のことなのですが、僕自身、大一番で経験し、実感しました。

三重高時代の内田(右)とペアの田邉雅人(左・中央大に進学)。高3最後のインターハイは団体5位、個人3位 写真◎川口洋邦

2016年11月開催のジュニアジャパンカップでU-20シングルス優勝の内田。気持ちで負けないのが大事だという 写真◎矢野寿明

上松俊貴の勝つために必要な3つのこと
プレッシャーを楽しむこと
絶対的な自信を持っておく
常に高い目標を持ち、挑戦し続ける
+基本ができること、ケガをしない身体づくり(食事と睡眠が大事!)
内田理久の勝つために必要な3つのこと
絶対に気持ちで相手に負けない
最後まであきらめない
テニス以外(私生活)の部分を確立する

 

取材・構成◎八木陽子
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