高校シーンでトップに上り詰めた選手たちに『勝つために必要なこと』を聞くWEB連載シリーズ第2弾は、ヨネックスの同期スーパールーキー、貝瀬ほのか(和歌山信愛高卒)と吉田栞里(昇陽高)が登場。
吉田は小5の全小で個人優勝、貝瀬は小6の全小で個人・団体優勝、中学でも、吉田が先に都道府県全中を制し、翌年に貝瀬が制覇と、全国の舞台で切磋琢磨してきた。「吉田は邪魔(笑)」「貝瀬は面倒(笑)」と、お互いの存在を強く意識していたという2人が今春、ヨネックスでチームメートに。彼女たちが小中高と勝ち続けることができた理由を、2人の歴史から紐解いていく。
【貝瀬×吉田】対談の第1回は、小学校~中学校の話。
かいせ・ほのか 1998年4月11日生まれ。新潟県出身。身長159.6cm、左利き、後衛。見附市スポ少(小1)→見附西中→和歌山信愛高→ヨネックス。2017年ナショナルチーム
高校時代の主な戦績◎インハイ個人3位&団体5位(2014)、全日本高校選抜優勝(2015)、インハイ団体優勝(2015)、国体優勝(2015)、全日本高校選抜2位(2016)、ハイジャパ単優勝(2016)、インハイ個人3位&団体2位(2016)
よしだ・しおり 1998年5月31日生まれ。大阪府出身。身長166cm、右利き、前衛。岸和田ジュニア(小1)→昇陽中→昇陽高→ヨネックス。2017年全日本U-20チーム
高校時代の主な戦績◎インハイ団体3位(2014)、ジュニアジャパンカップU-17単優勝(2014)、ジュニアジャパンカップU-17複優勝(2015)、インハイ団体3位(2015)
小6の全小前は泣いてばかりだった
――貝瀬選手は新潟出身、吉田選手は大阪出身。同年代で活躍している選手も多いですね。
貝瀬 私は、小中と9年間一緒にやってきた、元ペアの吉原花海(現・立教大)、上田理央(現・明治大)、清水彩(現・東京経済大)ですね。この同級生4人と、ともに上達していったという感じでした。みんな仲間であり、ライバルでしたね。
吉田 私は1学年上が内本隆文/丸山海斗(現・早稲田大/明治大)、2学年上には東芝姫路の泉谷(朋香)さん。
2016年のアジア選手権で内本/丸山はダブルス銀メダルを獲り、泉谷さんは皇后杯で2位と、ジュニア時代に一緒に練習してきた人たちがちょっと遠くに思えたり……。でも、私も早く追いつきたいっていう気持ちが強くなりましたね。
――貝瀬選手と吉田選手は同学年ですが、初対戦は?
貝瀬&吉田 6年のときの全小!!
――団体戦の予選リーグで対戦し、貝瀬選手の新潟が勝利。貝瀬選手は個人戦で優勝しています。
貝瀬 あのとき、私は調子が悪くて、本番が近づくにつれ、泣いてばかりでした。うまく打てなくて、父とフォームの再確認をしたのを覚えています。個人が先で、勝てるか分からないけど、とにかくやるべきことをやろうと思って大会に臨みました。
でも実際に大会が始まると、同じチームの清水/上田も勝ち上がっていたので、負けられないという気持ちが出てきて。決勝で清水/上田と当たりましたが、とてもやりづらかったです。
――吉田選手は、前年の全小個人チャンピオン(松岡/)でした。
吉田 小5のときは優勝できたのですが、6年のときはペアも違いますし、新しいペアを引っ張っていかなくてはというプレッシャーがありました。個人はわりと早く負けてしまったので、リフレッシュの意味もあり、すぐに宿舎に帰ったんです。だから、個人の決勝を見ていなくて。
でも翌日、団体で貝瀬のいる新潟と対戦することになり、そのときは「個人の1位、2位がいるチームと対戦するんだ。向かっていける!」と思いました。
貝瀬 私は、前日の個人戦で疲れてはいたのですが、母に「個人優勝したからといって、試合をあきらめないで。(団体でも)しっかり頑張りなさい!」と激を飛ばされていました(笑)。
大阪戦で吉田と対戦したときは、気が付いたら試合が終わっていた感じです。自分は中ロブが得意なのに、吉田にスマッシュをたくさん叩かれて。それで、どうしていいか分からなくなった。残りの2組が勝ってくれたので、その後も勝ち進みましたが。
吉田 貝瀬の第一印象は、打ち方がすごいなと感じました。どこにでも打てるというか。自分はスマッシュが得意なので、そこを生かしたいと思い、小学生はあまり抜いてはこないので、横を気にせず、後ろを追えたんだと思います。
貝瀬 小5のとき、吉田の全小優勝の場面を見ていました。小学生なのに、とにかくスマッシュが叩ける。その印象がすごく強かったです。
吉田 私からしたら、小6の全小で、貝瀬は団体・個人の2冠ですから。勝とうという気持ちより、貝瀬と戦えるのがうれしかったですね。
貝瀬 あのとき、吉田たちにだけ負けて、私たちのペアは1敗。清水/上田も個人決勝で私たちのペアに負けて1敗。新潟チームの中では、1敗同士で引き分けだったなと。
4人は普段は仲がいいのですが、勝負になるとお互いにライバル心メラメラに(笑)。小5から中3まで、この2組が互いに競い合ったからこそ、強くなれた気がします。
中学に入ってから「攻めよう」と
――中学は貝瀬選手が地元の見附西中、吉田選手が私学の昇陽中へ。中学時代の対戦は?
吉田 昇陽中を選んだのは、姉が通っていたのと、藤木(陽奈、現・関西大)/泉谷ら、同じジュニア出身の選手が5人もいたので。中学に入って、貝瀬とは1年のときの都道府県全中の個人・団体ともに対戦したと思います。
貝瀬 個人は8本がけでした。私は中1の夏の全中に出られなくて、自信がなかったんです。だから、この都道府県全中が中学に入って初めての全国大会でした。ペアの吉原ともども調子が良くて、かみ合って、乗っていけましたね。個人では3位に入賞することができました。
でも、団体で吉田と対戦したときはリベンジされました(笑)。ファイナル4-6で、私がレシーブをカットしたけどミスで。
吉田 よく覚えてるね! 最後のポイントだけは覚えている。吉原のボールがアウトしたってことを。
貝瀬 自分のプレーで流れを変えてしまった試合だったから。前日も吉田と対戦してイヤだったから、意識しちゃったんだと思う。
それと前日は外で、団体は体育館だったというのもあったかな。とにかく吉田は自分の存在を大きく見せるから、邪魔というか(笑)。気になったんですよ!
吉田 まあ、小学生のときは守りばかりでボレーも取りにいかなかったから(笑)。中学に入ってからは「攻めもやろう」と思って。だから、邪魔に思ってもらえるようになったのかも。
自分の方も対貝瀬を考えたとき、体育館ではさらにロビングでくるだろうなとは思っていました。なのに、拾うし、カットも使うし、面倒な相手だなと(笑)。
貝瀬 このときの都道府県全中はお互い1勝1敗で引き分けということで(笑)。
第2回は6月6日公開予定!