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ダブルスでは35ポンドがベスト。 僕のボールタッチを生かすことができる

上松俊貴(早稲田大1年)
うえまつ・としき
◎1998年6月11日生まれ、19歳。右利き、前衛。岡山Kids→岡山理大附中→岡山理大附高→早稲田大1年


つかんで離す――打つたびにボールに触れる唯一のギア、ガット(別名ストリング)は、ソフトテニスプレーヤーの第2の“てのひら”とも言える。“てのひら”だけに、トップ選手はガットに対してさまざまなこだわりを持っているはず……。

これまで、あえてフィーチャーしてこなかった『ガット』について根掘り葉掘り聞いたら、ガット道は想像以上に奥深かった。『俺のガット論』3回目は、昨年インターハイで個人V、日本代表として臨んだアジア選手権では、高校生初となる金メダル(ダブルス、国別)を掲げた次世代前衛の登場だ。

4月に早稲田大に入学。6月の全日本大学王座でも活躍し、優勝に貢献

中学生にしてナショナルチーム入りを果たし、2016年、高校3年で日本代表に

小中高と、各カテゴリーのすべてで全日本タイトルを獲得し、常に年代のトップを走る

ダブルスのときが35ポンド、シングルスは32ポンド

――ガットにはかなりこだわるという噂を聞きました! シングルス、ダブルスで変えるとか?
そうですね! 僕は高1~高2のときに、ダブルスとシングルスで、「ラケット」「ガットのテンション」を変えていたんです。テンションはダブルスのときが35ポンド、シングルスのときが32ポンドとややゆるめにしていました。

――やはり本当のお話だったんですね! 単複でテンションの違いをつけるのは、どのような基準で?

ダブルス時の35ポンドは、(人からは)硬い、と言われます。ただ僕自身は前衛として、35ポンドがベストだということ。ボールの弾きや打感、そしてコントロールもしやすいですし、とにかく僕のボールタッチを生かすことができる感じです。
シングルスで32ポンドにしたのは、ボールの弾きだけではなく、ストロークでの球持ちの良さも求めてのこと。あとは厳しい体勢にさせられたときにも、カットやスライスなど小技で返球しやすいからというのも理由でした。

――ほかに、テンションを変えることはありますか?

高3のインハイのときは、暑いとガットがゆるみやすいからということで、毎日張り替えていただいていました。選抜のときは逆にまだ寒い時期でもあったので、1本張りにするか、2本張りにするかなど、いつも担当していただいているストリンガーさんと相談しながら、テンションを決めていました。
そういうガットの専門家の方にアドバイスいただき、それを踏まえ、自分自身の感覚を重ね合わせて、導いたのが「35ポンド」なわけです!

――ストリンガーさんも、ともに戦っている感じですね。
本当にそうなんですよ! 絶大な信頼を置いています! 僕は張り立てが一番好きなんですね。それは、1回1回リセットできるから。「今日は、今日!」という感じに。だから、毎回毎回、同じように張り替えていただき、本当に感謝しています。そういう人たちに支えられて、僕はプレーできているんだと。

――お話を伺ってきて、あらためて、テンションに対して繊細に違いを感じるタイプなんですね。
そうなんですよ! 僕、繊細なんです! 気温とか、雨とか、テンションを考える上で本当に大事なんですよ。あと、コートサーフェスによっても、テンションは変わってくると思います。

――張り替えもけっこう頻繁ですか?
2週間に1回という感じです。ガットが切れる前には張り替えます。ラケットの本数も予備が何本かありますから、ガットが切れて張り替えることはないんですね。

――今後、ガットに求めることは?
ガットの開発も進化していますよね。だから、ストリンガーさんとよく話し合って、僕に合っているガットをセレクトしていきたい。これまでもこれからも、ですね。

国際大会などに出場するときは、日本以外の場所で開催ということもありますよね。海外では、気候も環境も、また違う。その中で、テンションなども変えざるを得ない。そういう中でも、常に完璧な状態で戦うことを、常に心掛けていきたいですね。

また、硬式テニスもソフトテニスも、スピードテニス化していますよね。だから、スピードに対応することもポイントだとは思いますね。あと、プレースタイルもダブル前衛、並行陣など、臨機応変な陣形が求められています。だから、今後は、そういう陣形に応じたガットなども開発されていくのではないかなとも。よく考えると、用具の開発があるから、テニスも進化していくんでしょうね。

――では、最後に、ガットのテンションにまつわるエピソードなどあったら、教えてください!
僕の知り合いなのですが、某アイドルグループのファンがいて、で、1人1人にラッキーナンバーみたいのがあるようなのですが、彼は自分の「推し」の番号を自分のポンド数にしていました。「何やっているの?」と思う人もいるかもしれないけれど、本人がそれで問題なく打てて、その上、モチベーションを上げることができるなら、僕は、それはそれでいいかなと思います!

ナショナル後衛・上松俊貴のガット論

■ダブルス時は35ポンド、シングルスでは32ポンドでプレーする
■気温、天候、サーフェスなどによってテンションも変わる!
■ポジションはもちろん、得意な陣形に応じたガットの開発にも期待

取材・文◎八木陽子
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