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2017.07.14

中学時代に硬いガットを体験したことで、 自分に何が合っているかを理解できました

WEB連載 私のガット論Vol.4 平久保安純

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平久保安純(早稲田大4年)
ひらくぼ・あすみ
◎1995年8月8日生まれ、21歳。右利き、後衛。和歌山LCC→和歌山信愛中→和歌山信愛高→早稲田大4年


つかんで離す――打つたびにボールに触れる唯一のギア、ガット(別名ストリング)は、ソフトテニスプレーヤーの第2の“てのひら”とも言える。“てのひら”だけに、トップ選手はガットに対してさまざまなこだわりを持っているはず……。

これまで、あえてフィーチャーしてこなかった『ガット』について根掘り葉掘り聞いたら、ガット道は想像以上に奥深かった。『私の(俺の)ガット論』4回目は、2015年、2016年日本代表、2017年ナショナルチームの平久保安純選手。

今年の全日本シングルスは3位。シングラーとして世界と戦ってきた経験も
2014年には皇后杯決勝へ。小林奈央(当時・早稲田大)とのペアで勝ち上がった(写真は2017全日本シングルス)

幼少期から、全小、都道府県全中、高校選抜、インカレなどなど、優勝を積み上げてきた

中学時代に「飛ばない」ガットで修業?

――ガットのテンションに対して、こだわりは強い方ですか?
実はあまり気にしないタイプです(笑)。試合前なら、1ポンドくらい落としてやや緩(ゆる)めに。張りたてより、少し使用感があるくらいを好むので。基本、ガットの張りについて、こだわることはありません。ガットの張りが気になって、うまく打てないと考えるのではなく、自分の調子によって打球感が変わると思っています。

――後衛はガットが切れやすいということですが
私、あまり切れないんです(笑)。だから、1~2か月くらい経った頃、張り替えようかなと思う感じです。だいたい、大会やナショナル合宿に行ったときに、ストリンガーさんに張っていただいています。

――実際、テンションは硬め? 柔らかめ?
中学の時、同じ近畿の学校が硬いガットを使っていたらしく、顧問の先生が同じように硬めを使うよう試してみようということで。そのときは36~38ポンドぐらい使っていました。その後、高1の冬にトレーニングしてパワーがついたことも影響したのかもしれませんが、ボールがコートに収まらなくなって悩んでいたんです。そのとき、何か変わるきっかけにということで、顧問の先生が、今使用している硬さを勧めてくれました。

――で、高校1年の冬から今に至っているポンド数は?
26ポンドに落ち着きました。ボールが安定しているのと、試合で結果が伴ってきたということが重なったことも大きかったですね。と言いながら、私は割と、どんなラケットでもガットでも、それなりに打てるんです(笑)。何が「ダメ」だとか、あまり細かく気にすることはありません。

ただ、中学時代に硬めを経験したことで、より自分が打ちやすいテンションを知ることができました。硬い、緩い、両方を経験したからこそ、自分には緩めが合っているとわかるようになったんでしょうね。

でも今、私の周囲の人たちを見ても、私ほど緩めの人はいないです(笑)。

伝説の「ゆるいガット」

――ガットのテンションにまつわる、印象的なエピソードはありますか?
お話ししてきたように、私自身はあまりこだわりなく、幅広く、それなりに、打ててきたので、ほかの人の話を(笑)。
聞いた話なのですが、ある天皇杯優勝経験のある後衛の方なのですが、どうもテンションは「ひとケタ」らしいんです! 韓国の男子選手も「ひとケタ」らしくて、めっちゃ緩めであの強烈なボールを打っているってことになります! まず、そんなテンション、機械で張れるのか、どうやって張っているのか、気になりますよね!

それと、私の先輩でもあるある後衛の方は、ちょっと違和感があると、すぐにガットを張り替えていらっしゃいましたね。同じフォームで、同じ力の入れ具合で、同じ打ち方で、ラリーができる選手は、ガットのちょっとした違いもわかるのではないかと思いました。ガットを感じられる人は安定感あるストロークができるのかな?と。
私はガットの違いには鈍感な方なので(笑)。

――そんなことないと思いますよ。コースよく、長いラリーでも粘り勝てるじゃないですか! 平久保さんの場合はガットなどのコンディションが違っても、ご自身が調整力や対応力にすぐれているから、きっと「気にならない」。

そうでしょうか(笑)。ありがとうございます! ガットとの付き合い方は、プレースタイルや個人の性格によっても違うものなんですね。

ナショナル後衛・平久保安純のガット論

■ 実は、ギアにはそれほどこだわらない派!
■ 中学時代は35-38ポンドの硬いガットで、「身体で打つ感覚」を体得
■ 今は26ポンドで、かなり緩めのチューニング

取材・文◎八木陽子