反省と準備をしたらスイッチ完全オフ!
前回に引き続き、集中について考えます。理想的な集中とは、今すべきことに意識が向いている状態です。そして、集中状態は長く続きませんから、オンとオフのテクニックを身につけることが重要だとお伝えしました。試合中は、相手やジャッジで集中を切るのではなく、ルーティンや間の使い方を工夫して、自分でオンオフができるようになるといいでしょう。
ソフトテニスの大会では、試合と試合の間に空き時間があります。みなさんはどのように過ごしていますか。理想は、心も身体も一度完全にリラックスすることです。それから、次の試合に向けて、集中力をボンっと高めていくわけですが、スイッチを切る前に、必ず前の試合の反省と次の試合に向けた準備をしておきましょう。
具体的には、ノートにその試合で良くなかったところと良かったところをまとめ、修正点と良いところをさらに伸ばすための方法を書きます。次の試合のために準備すべきこと、意識しなければならないことなど、課題やプランをある程度立てておいて、あとは完全にリラックスです。
勝ち負けは意識しない、自分の成長を考える
リラックスにはいろいろな方法があります。マンガを読む、音楽を聞く、ダラダラしてもいいでしょう。一番やってはいけないのは、遊び疲れたり、次の対戦相手の情報を集め過ぎて、頭の中で負けるイメージをつくり、「やばい、どうしよう」となることです。できれば、次の対戦相手の試合は見ない方がいいですね。もし見るならば、プレーのポイントだけに注目して、スコアをあまり見ない方がいいでしょう。
そして大事なのは、次の試合に向けたプランをつくるときに、その対戦で自分がいかに成長できるかを考えることです。勝ち負けは意識せず、その試合から何が得られて、どのような成長があるかという、長期的な展望で考えます。するとどうですか、ほど良い緊張感が出てくるでしょう。
対戦相手が「格下」と見くびってしまうと、集中力が散漫になったり、緊張感が低くなってレスポンスが遅れる(いわゆる“手を抜く”状態)ことがありますが、試合からの成長を意識してプランを立てていれば、いつも通りの手順できっちりとやれるはずです。
for 指導者
対戦相手の情報をどう伝える?
指導者がプレーヤーに対戦相手の情報を伝える場合、シンプルなアドバイスがいいでしょう。相手が強い、弱いという情報は必要ありません。選手が「自分の方が強い」とタカをくくってしまうのは一番よくないです。ほどよい緊張感をつくっていく声かけを行いましょう。
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。