TOPICS
プレー&コラム
2017.09.08

インカレ6連覇は「やっと勝てた」という感じ。僕自身、ケガで苦しんだ時期もあったので

【WEB連載】船水颯人『JKTへの道』#26 インカレ6連覇

関連キーワード:

インカレ前の連載でも「最後に勝つのは早稲田というところを見せる」と団体6連覇を見据えていた船水颯人。昨年の3冠こそ叶わなかったが、大学対抗戦、シングルスで頂点に立ち、2冠を果たした(自身の記録は大学対抗3連覇、シングルス連覇)。

ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第26回は6連覇を果たしたインカレについて。

船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年

明治大との決勝を前に円陣を組む6人。メンバーは1年生が2人(上松、内田)、2年生が1人(内本)、3年生が3人(船水、星野、安藤)

「次は俺らがいくから大丈夫」がみんなの気持ち

――インカレの団体戦6連覇、おめでとうございます。この連載でも宣言していたとおり、早稲田大の強さを示しましたね。

試合に出ていた3ペア6人(内本隆文/星野慎平、船水颯人/上松俊貴、安藤優作/内田理久)は、レベルが拮抗していて、大将が3組いるという感じでした。今年の春から僕が全日本シングルス、東インカレで内本/星野、東日本選手権では安藤/内田がそれぞれ優勝していましたから。

今季、3ペアとも結果を残している状態で、大会を迎えることができたのは良かったと思います。互いに切磋琢磨し、気持ちを高め合うことができました。

――インカレは盤石だったのですね。

いや、そうではないです。いざ本番になると、内本/星野が負け込んでしまって……。

ただ、そこでもチームは崩れませんでした。最初のペアが負けても、残りのペアが「彼らの分まで頑張ろう」という空気がありました。昨年以上に団結力はあったと思います。「次は俺らがいくから大丈夫だ」って、みんながそういう気持ちになっていたはずです。

実際、僕はチームの柱として、引っ張っていくという思いでコートに立っていました。いつも以上に、その気持ちは強かったです。

決勝の明治大戦

中平/米澤に勝てたのは大きかった

――団体戦で一番のヤマ場だったのは?

明治大との決勝ですね。中平(慎吾)/米澤(要)に勝てたのは大きかった。常に先手を取れて、主導権を握れることができました。攻めることだけに徹したと言ってもいいくらいです。相手にはほとんど何もさせなかったと思います。

――攻めに徹したことで、ペースをつかんだのですね。

残りのペアが絶好調であれば、なんとかなるだろう、という甘えが出たかもしれません。今回は僕たちのペアで絶対に勝つんだという思いがあったので、ゲームの入りからスイッチを入れました。

――果敢に攻めたのは、チームを鼓舞する意味もあったと。

6連覇するのは簡単ではありません。わずかなスキを見せると、勝てないので。ポテンシャルのあるペアでも、思うようなプレーができないと、不安になるものです。その思いがチームに伝播すると、全体が崩れてしまいます。それは避けたかった。

だからこそ、重い雰囲気を断ち切るようなテニスをする必要があったんです。

――団体戦を戦う上で、大事にしていたことを教えてください。

勢いと雰囲気は大切です。だから、ゲームの入りから勝負していこうと話していました。団体戦ならではの戦い方もあるので。

特にインカレは7ゲーム制で、最初を落とすと、一気に崩れる可能性があります。1番目のペアが負けたときは、次のペアはゲーム運びを考えないといけない。そこで、最初からロブを上げて相手に叩かれたりすれば、さらに勢いづかせます。

2番目で出ていた僕は、1球目から相手を潰すつもりで、攻めていました。

――チームメートの調子を見て、臨機応変にゲームプランも組み立てていたのですね。

大会前に調子が良くても、本番になるとどうなるかは分かりません。常にあらゆる状況を想定して準備しておく必要があります。僕は普段からさまざまなシチュエーションを考えて、練習に取り組んでいます。こういうゲームの流れになれば、このショットが有効になるとか。

僕の場合、チームメートに比べると、技術レベルがそれほど高くないので、その分、考えてテニスをしています。

団体戦に大事なのは「勢いと雰囲気」だという。チームメートの応援を背に

安藤と星野には「僕らがやらないといけない」と

――チームメートが調子を落としているときは、声を掛けたりはするのですか。

それはあまりしないです。声を掛けると、プレッシャーを与えてしまうと思ったので。むしろ、思い切りやってほしかった。僕らのペアが勝つことで、「大丈夫だよ」というメッセージになれば、と思っていました。

今回は4年生が出ていなくて、僕ら3年生が最上級生だったので、同級生の安藤と星野には「僕らがやらないといけないよな」という話は少ししました。

――団体戦の優勝は、シングルス、ダブルスとは違う喜びがありますか。

違いますね。4年生が試合に出ていなくて、3年生が最上級生だったこともあり、この優勝は自信になりました。去年は試合に出ている4年生のためにという思いが強かったので、ほっとした気持ちだったのですが、今回は「やっと勝てた」という感じです。僕自身、ケガで苦しんだ時期もありましたから。

――大会前には6連覇はもちろん、来年も優勝して7連覇を達成したいと話していました。これで挑戦できますね。

まだイメージできないですが、懸ける思いは強いです。次は大学最後なので、楽しみにしています。チーム力の面では近年の早稲田では最も強いと思うし、ライバルたちを叩きのめして終われるように、また練習に励みます。

出場メンバーでは最上級生として臨んだインカレ。来年は4年生として7連覇を目指す

★インカレリポートはソフトテニス・マガジン11月号に掲載します(amazonの予約はコチラ)。11月号には船水颯人&安藤優作の早稲田大後衛陣による技術ページも掲載予定です★

※次回は9月15日(金)に公開予定

>>船水颯人『JKTへの道』バックナンバーはこちら

取材・構成◎杉園昌之 タイトル写真◎阿部卓功 写真◎矢野寿明(インカレ)