前回に続き、インカレの話を。8月5~10日に行われたインカレは、大学対抗→ダブルス→シングルスとタフな連戦だ。団体を制し、ダブルスは32強で敗退。シングルスは連覇を果たしたが、試合内容に「納得していない」と語る。その理由は?
ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第27回はインカレシングルスと夏大会の乗り切り方について。
船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年
ここで負けたら「俺は何のために練習してきたんだって」
――前回に続いて、インカレの話です。今回はダブルス、シングルスについて聞きたいと思います。
団体戦に懸ける思いが強かったので、正直、気持ちを切り替えるのが難しかったです。ダブルスはすぐに負けてしまいましたから。あんなに早く終わるのはひさびさです(5回戦敗退で32強)。本当に何もできなかった。完敗でした。団体戦で燃え尽きていた部分はあったと思います。
――それでも、シングルスでは優勝し、連覇を達成しました。ダブルスで負けたあと、どのように気持ちを切り替えたのですか。
このままシングルスでも負けるわけにはいかないぞと気を引き締めました。「俺は何のために練習してきたんだって」。
大学日本一を決める大会に出場できるのは、人生でこの時期しかありません。もう意地ですよ。全日本シングルスでも優勝していますし、負けられないという思いが強かったです。
――その思いが結果につながったわけですね。
確かに優勝はしましたが、内容には納得していません。負けないことにこだわり過ぎて、「守りのテニス」になってしまいました。リスクを負ったプレーができなかったですね。試合を通して、いいプレーをほとんど出せなかったので。無難なショットが多かったと思います。
――それでも、勝てたのは?
人よりも積み重ねてきたものがあると思っています。経験を積み重ねたことで、パフォーマンスのベース(最低ライン)が上がりました。調子が良くない中でも、出せる力があると思っています。そのレベルは、昨年よりもアップしています。
思い描いたテニスじゃなかった
――「守りのテニス」を噛み砕くと?
受け身です。守備に徹しました(苦笑)。
――守備に徹しても勝てた。裏を返せば、相手の勢いに押されて、崩れることはなかったのではないですか。
フットワークには自信がありますから。他の人よりも速く打球に追いつけます。カバーリングは得意なので。守勢に回ったときも、僕なりの戦い方があります。
――受け身に回っても、勝てるパターンがあるのですね。
持っています。もちろん、ずっと守ってばかりではないですよ。少しは攻めます(笑)。ここ1年で、「戦術の引き出し」は増えたと思います。
ただ今回は、当初、思い描いていたテニスとは違いました。そこは反省したいです。
――シングルスの決勝は、インカレ最終日。フットワークを駆使した戦術は、カラダに負担があったのではないですか。
ダブルスで早く負けましたし、うまく休息は取れていたと思います。疲れもありましたが、動けなくなるほどではなかったですね。
――5日間の連戦を乗り切れた要因は? 連戦ならではのケアはありますか。
メンタル面の話ですが、僕は先のことを考えないようにしています。優勝しようとか、翌日の試合はこうしようとか、あえて口に出しません。
――それはなぜですか。
目の前のことに集中できなくなるから。
――カラダはどのようにケアしていますか。
ホテルに戻ってからは、入念にストレッチしていました。試合と試合の間が、1、2時間くらいであれば、軽くジョギングしてダウンするくらいです。なるべく休憩しています。しっかりダウンして、またアップという形ではないですね。僕の場合は余計に疲れてしまうので。3、4時間くらい間が空けば別ですが。
――道具のケアは?
以前にも話しましたが、ラケットは5、6本持っていきました。1日使えば、次のラケットというペースで回していました。グリップも毎朝のように巻き直していました。1日に何試合もあり、汗でびちょびちょに濡れてた場合は、すぐに巻き直しました。感覚が悪いときも、交換しますね。
――「いつもと同じ感覚」が大事だと。
連戦であっても、なるべく同じ感覚でプレーできるように、メンタルもカラダも、そして道具にも気を使っています。シンプルなことですが、僕にとっては重要ですね。
船水颯人の夏大会の乗り切り方
①ホテルで入念にストレッチ
②試合間が1、2時間なら軽いジョグでダウン
③なるべく休憩を取る
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※次回は9月22日(金)に公開予定
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