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8強の天皇杯を振り返る「ダブルフォワードを試しながら、勝ち上がれたことは少し自信になった」

台風の影響で、1日目と2日目は雨、3日目は延期、最終日は強風に見舞われた今年の天皇賜杯・皇后賜杯全日本選手権大会。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ船水颯人は、悪天候のなか、戦術面で新たなチャレンジをしつつの8強という結果をプラスにとらえているという。

ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT・ソフトテニス競技はパレンバンで開催)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第32回は天皇杯を振り返る。

船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年

強い雨が降り続いた天皇杯2日目

ダブルフォワードじゃないと勝てないぞって

――天皇杯は悪天候のなか、厳しい戦いでしたね。

あそこまでの激しい風と雨は、初めての経験でした。厳しいコンディションのなか、ベスト8まで進めたことはプラスにとらえています。いま持っている力は、出せたかなと。

――悔いはないですか。

悔いがないと言えば、嘘になりますね。ただ、悪天候のなかで、いろいろ試せたことは良かったと思います。

――試したこととは?

ダブルフォワードを試しながら、勝ち上がれたことは少し自信になりました。ただ、最終日はすごく風が強くて苦戦しました。2年前も同じような強風のなか、篠原(秀典)/小林(幸司)に負けたんです。今回は中盤まで競っていたのですが、ここ1本が打てなくて……。無難なショットを選択してしまいました。1点がリードできず、ゲームの主導権を握ることができなかった。

相手のナイスフォローもありましたし、運をこちらに引き寄せることはできなかったですね。「風」で2回も負けているので、3回目は僕らに味方してくれるように、まだまだ練習する必要があります(笑)。

――ダブルフォワードは試す予定だったのですか。

天皇杯では試す予定はなかったです。試すというよりは、やらなければいけないという自覚はあります。ただ、本番のあの天候で後衛の僕には難しい選択でした。コートのコンディションが悪くて、まともに打てなかったので。

16強決めの小栗(元貴)/安藤(圭祐)戦でG0-3となり、チェンジサイドの際に隣のコートの試合の様子を見てみると、やっぱり前に行くしかないと思いました。練習はしていたので、上松(俊貴)と話し合って、「前に行こう」ということになりました。まともにラリーができない状態でしたから。

僕が勝負のショットを打ちきれなかったことが敗因

――ダブルフォワードの練習はしていたのですね。

ハードコートの試合もあるし、インドアの大会もあるので、準備はしていました。

――ダブルフォワードで意識したことは?

僕の持ち味はストロークです。だから、前に行き過ぎないように気をつけていました。完成度は高くなかったですが……。それでも、あのまま後ろで構えていても、そのまま負けていたと思います。実際、今年の天皇杯はダブルフォワードのペアしかほとんど上位に残っていません。結果がすべてを証明しています。

正直、後衛でもスピードボールで勝負できるんじゃないかと思っていたのですが、そうはいかなかった。運もありますが、負けは素直に受け止めています。風で負けるのは2回目ですから。

――ダブルフォワードで勝つためには、何が必要だと思いましたか。

難しい質問ですね。視点を変えて考え直します。やっぱり、持ち味のスピードボールを大事だと思っています。そこは駆け引き。上松は守備範囲が広いので、そこは生かしたいです。

まだ始めたばかりなので、これからですね。時間はないですが、じっくり話し合って、練習していきたいです。

――ダブルフォワードの攻略法もつかみましたか。

崩し方のビジョンは見えているのですが、それが結果として証明されていないので、視点を変えてビジョンを立て直す必要があると感じています。ただ、今回は僕が勝負のショットを打ちきれなかったことが敗因。上手いことやろうとしてしまい、守りに入ってしまったので。迷いが生じて、ミスを犯してしまいました。

 

※次回は11月24日に公開予定

 

取材・構成◎杉園昌之 タイトル写真◎阿部卓功 全日本選手権写真◎井出秀人
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