高校生たちの熱い戦いが幕を切った。3月28~30日の全日本高校選抜大会の前哨戦とも言われるアゼリアカップでは、男子は羽黒、女子は和歌山信愛が優勝。各チームとも実戦の場で現状のチーム力をはかり、3月の本番へ向けて、さらに強化を続けていくことになる。ここでは、アゼリアカップを戦った注目チームをクローズアップする。
インハイ4強を破って準決勝進出
男子では、昨年インターハイ4強の上宮(大阪)を破って、南陽工業(山口)が準決勝進出を果たしたのが大会のもっとも大きなサプライズだったろう。
南陽工業は、昨年は春の選抜、そしてインターハイともに初戦敗退と全国の壁にぶつかったが、今年は昨年を経験したメンバーが引き続き残っており、その経験値を今回の快進撃につなげている。
「全国に出ると初戦負けというのが続いていましたが、3年生が抜けて、2年生の自覚が出てきた。相手が格上でも自分たちの力が出せていると思います」と友光正志監督は選手たちの戦いぶりを評価した。
チームの中心は、2年生の松田蒼生/中川健太。この松田/中川、そして同じく2年生の塩田悠登/安村翔汰で勝利するのが南陽工業の勝利の方程式となるが、アゼリアカップでの準々決勝では、1番を任された1年生の藤井斗生/藤谷康生が上宮ペアに先勝。松田/中川が敗れたあとに、塩田/安村が3番勝負を制した。
大将である松田/中川は、準決勝の羽黒戦でも、1番でファイナルの末に惜敗。力のあるペアとの対戦が多く、大会を通じて1勝2敗と悔しい結果となったが、「このふたりが大将らしくなることがチームとしてさらにレベルアップする課題のひとつです」と、友光監督はその伸びしろに期待している。
どんな相手でも初戦を突破できる準備を
選手たちが掲げる選抜での目標は、ベスト8入りだが、友光監督は「まずはどんな相手と当たったとしても、初戦を突破できる準備をしていくだけ」と気を引き締める。
アゼリアカップで上宮を破ったことは「ずっと目標としてきたようなチームに勝てたことは自信にしていいと思う」とする一方で、「そこで勝っても選手たちに決して浮かれた雰囲気がなかったのが、よかった。監督として頼もしく思う」と頬を緩めた。
選抜に向けては、羽黒戦で実感した「前衛の得点力、後衛のミスといった課題」(友光監督)を強化していく。
新チームでの戦いはまだ始まったばかりだが、好スタートを切った注目チームが、自信と課題を収穫に、さらなる飛躍を目指す。
文◎田辺由紀子 写真◎山田次郎