初日は雨と低温の中での戦いとなった全日本シングルス。2日目は、前日の悪天候を払拭すべく、快晴のもとで選手たちは熱戦を展開した。その結果、船水颯人(早稲田大)が2年連続3回目、尾上胡桃(日本体育大)が初となるシングルス日本一の称号を手にした。
【男子】青森で兄弟対決再び
地元・青森で船水兄弟が激突! 4月のアジア競技大会代表予選会の準決勝でも激突したふたりが、今大会も準決勝で顔を合わせた。試合は1ゲーム目を兄・雄太(NTT西日本)が⑨-7しぶとくものにしたが、2ゲーム目を、すかさず弟・颯人が④-0で奪い返し、流れを渡さず。その後も3ゲーム連取し、決勝へ。
決勝の相手は昨年同様に長江光一(NTT西日本)。スライスやツイストで前におびき出され揺さぶりをかけられたが、船水は要所でしっかり打ち、長江の攻撃を退け、G④-2で制す。
「本来はもっと自分から攻めていきたかったのですが、今回は天候やコートの状態もあり、ややディフェンシブな面も。これからの課題になりました」と颯人。
そして、「すでにアジア競技大会の準備は始めている」とも。また一つ称号を得て、見据える先へ力強く歩を進める――。
【女子】「ビビらずに自分のテニスができれば結果は出る」
全日本シングルスには中学生の頃から出場してきた。早い段階からシングルスで頭角を現し、昨年は決勝で敗れはしたが準優勝を果たす。そして今年、安定感の一層増したストロークを武器に、尾上胡桃がついに頂点に立った。
もっとも競ったのが準決勝の中川瑞貴(ナガセケンコー)との一戦。ファイナルまでもつれる中でも厳しいコースを突き続けた。決勝は日体大の同士討ちとなり、後輩の黒田奈穂子をG④-1で下し、待望の全日本タイトルを手にした。
尾上は、経験を土台に、ここ数年しっかりと戦績を残している。「自信はついてきているので、ビビらずに自分のテニスができればおのずと結果は出ると思っていました」。内に秘めた勝利への強い思いが結実した。
取材・文◎八木陽子 写真◎川口洋邦