本日8月27日(月)発売のソフトテニス・マガジン10月号。全小、全日本実業団、アジア競技大会プレビューと並び、7月30~8月6日に三重県・鈴鹿市で開催されたインターハイも徹底リポートしています。ここでは、本誌に掲載できなかったストーリーをお届け!
地元チームの主将として
7月30日、開幕を翌日に控えた女子開会式。選手宣誓を行ったのは地元・三重高の主将、石田恵美莉だった。自分で考えたという宣誓文。「緊張していて、忘れてしまうかと思ったけど大丈夫でした。かなり噛んじゃったけど」と笑ったものの、地元の代表として堂々、選手を代表してインハイでの健闘を誓った。
翌日からの個人戦は、2年生後衛の勝田珠莉とのペアで出場。初戦の2回戦を突破した後、3回戦で昨年準Vの第1シード、原口美咲/久保菜月(福岡・中村学園女子)と対戦した。「行けるところまで行こうと考えていた」という思いで優勝候補に立ち向かったが、0で敗退。個人戦2日目は3位となったチームメートの田川美怜/浪岡菜々美らを応援しつつ、最大の目標である団体戦に気持ちを切り替えた。
三重高は春の選抜に続く2冠を目指していた。勝田/石田は選抜では準決勝まで出番がなかったものの、決勝は田川/浪岡に代わって2番で登場し、見事に勝利をつかんで連覇に貢献している。地元優勝も懸かった今大会、春夏2冠への思いは強かっただろう。
8月3日の団体戦。三重高は初戦の2回戦で健大高崎(群馬)に③-0、3回戦では尽誠学園(香川)に②-0で勝利。順調に勝ち上がる一方で、勝田/石田に出場機会はめぐってこなかった。
「後輩たちには、まだチャンスがある」
続く準々決勝、三重高は北越(新潟)と対戦。3面展開の戦いで、1番の竹田真樹/藤城みちるが敗れた後、3番の田川/浪岡もファイナルの末に敗れ、敗退が決まった。勝田/石田は最後まで出番のないまま、地元でのインハイを終えた。
「目標としていた結果には届かなかったですが、個人戦も団体戦もコートに立った選手は最後まで、自分たちのできることをやり、応援に応えようと頑張っていました。そこに後悔はありません」
相手チームとのあいさつを終えた後、石田はすぐに田川に歩み寄っている。表情には笑顔が浮かんでいた。
「個人戦で田川/浪岡が3位になりました。田川は地元の三重県の選手なので、保護者の方たちなど、みんなが喜んでくれて。田川のおかけで三重県が盛り上がってくれて、自分もうれしかったです」
自分が出場できず、悔しくなかったはずはない。それでも主将としてチームの戦いに胸を張り、地元のコートが沸き立ったのを喜んだ。「後輩たちは、まだインハイのチャンスがあるので、頑張ってほしいです」とエールを送ったが、自分自身もインハイが終わりではない。
「国体で日本一を取るチャンスがあります。そこに向けて頑張っていきたい」
福井県で開催される今年の国体、少年女子は47都道府県すべてが参加する。頼れる主将は変わらずチームを引っ張り、3冠最後のタイトルを目指す。
取材・文・写真◎石倉利英 写真◎井出秀人