第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」のソフトテニス競技は6日、武生中央公園庭球場で少年男子と女子の2日目の競技が行なわれ、女子は文大杉並高単独の東京が、3年連続5回目の優勝を果たした。
中村学園女子高単独の福岡との決勝、1番ダブルスで出たのは2年の鈴木理奈と、3年でキャプテンの原島百合香のペアだった。2人は中学時代に都道府県全中でペアを組んだことはあるが、高校入学後は初めて。この日の朝練習で初めてペアを組むことを聞かされたという急造ペアは、準々決勝と準決勝でも1番で出たが敗れており、結果を残せていなかった。
だが3連覇が懸かった大一番で、ついに躍動する。序盤から相手の大将、原口美咲/久保菜月に先行され、G3-2とリードされたものの、第6Gを取ってファイナルに持ち込み、これを制して先勝。2番シングルスの小林愛美が続き、見事に頂点に立った。
文大杉並は今年に入って選抜、インハイとも初戦で敗れていたが、東京として最後の団体戦タイトルを手中に。急造ペアの難しさを乗り越え、徐々に連係を高めて3連覇への道を切り開いた2人に試合後、話を聞いた。
「最後にみんなの笑顔が見たかった」(原島)
――鈴木さんは、1日目はシングルスで出場しましたが、今日は原島選手とのダブルスでの出場でした。
鈴木 都道府県全中のとき以来、組んだことがなくて、朝練習のとき、急に「ペア組むから」と言われて。ドキッとしました(笑)。
――原島さんは先輩として、どんな声を掛けましたか?
原島 「とにかく楽しもう」と話していました。試合に入る前は2人で、どういう戦いをするかを話し合っていて、高校の試合で組むのは初めてだったので、手探りしながらプレーしていました。
――ただ、準々決勝と準決勝は敗れました。
原島 全然ダメでした…もう、ヤバかったです。
鈴木 私は2試合とも全然ラケットを振れていなくて、先生方に「今年最後の試合、しかも3年生と組んでいるんだから」と言われました。しっかりラケットを振れば原島先輩が決めてくれるから、と言われたので、決勝では振りきりました。
――今年の文大杉並は選抜、インハイとも初戦で敗れました。キャプテンでもある原島さんは、今回の国体への思いは人一倍、強かったのでは?
原島 今回は東京ですが、文大杉並の選手として戦える最後の試合で、(3年生の)自分と小林(愛美)が出られる最後の試合でもありました。三度目の正直でもあり、最後はみんなの笑顔を見て終わりたかった。特別な思いがありました。
――鈴木さんは選抜とインハイの初戦で、どちらも3番でしたが、2番までにチームが敗れ、「消化試合」を戦うことになりました。
鈴木 選抜もインハイもチームが負けた後の試合で、すごく嫌な感じでした。国体では向かっていく気持ちで、しっかりやりきることができたと思います。
――原島さんは昨年と一昨年の優勝した国体には出場していません。
原島 2年間、国体を見て、5人のメンバーに入る難しさと、入ったときの責任感がどれだけのものか、その責任を自分は背負えるのか、という思いを強く持っていました。今年メンバーに入れてもらい、プレッシャーや責任感を強く感じましたが、武元(望美=文大杉並高コーチで、東京の監督)先生たちが盛り上げてくれて、すごく楽しかったです。
――鈴木さんは来年が3年生です。
鈴木 来年は国体4連覇が懸かっていますし、その前に選抜もインハイもあります。チームとしてまとまって、戦っていきたいと思います!
▼少年女子
優勝:東京
2位:福岡
3位:京都
4位:埼玉
5位:奈良
6位:宮城
7位:岡山
8位:大阪
▼準決勝
東京 ②-1 埼玉
鈴木/原島 1-④ 赤川/小林
小林 愛美 ④-3 嵐 美月
小松﨑/西東 ④-0 桑山/持田
福岡 ②-0 京都
原口/久保 ④-3 近藤/八田
谷水 鈴香 ④-3 遠藤かおる
▼決勝
東京 ②-0 福岡
鈴木/原島 ④-3 原口/久保
小林 愛美 ④-2 谷水 鈴香
▼3・4位決定戦
京都 ②-1 埼玉
近藤/八田 1-④ 赤川/小林
遠藤かおる ④-1 嵐 美月
松本/武藤 ④-0 桑山/持田
取材・文・写真◎石倉利英 写真◎井出秀人