10月19日(金)から熊本県・熊本県民総合運動公園メインテニスコートで開催された『第73回天皇賜杯・皇后賜杯全日本ソフトテニス選手権大会』は、21日(日)、競技最終日が行われ、男子は船水颯人/上松俊貴(早稲田大)が優勝を果たし、天皇賜杯を掲げた。
山場は安藤/内田との準々決勝
船水/上松にとって天皇杯制覇への最大の山場となったのは、最終日の初戦、同じ早稲田大の安藤優作/内田理久との準々決勝だった。G4-1とリードを奪ったものの、手の内を知り尽くす相手だけに勝負は簡単には終わらず、そこから安藤の攻撃的なストローク、内田の配球を読んだポーチが決まり、3ゲーム連取を許して、G4オールと並ばれる。
それでも、「後半巻き返されるのは、いつもの展開」(上松)、「もう一度ゼロからというところになって、割り切れた」(船水)と2人は冷静だった。ファイナルも4オールまでもつれたが、続くポイントで船水と安藤のストレートの打ち合いから、上松が飛び込んでボレーを決めたのを皮切りに3ポイント連取で勝利をものにした。
この接戦を制した船水/上松は、一気に勢いを加速。準決勝では林田和樹/柴田章平(ヨネックス)、決勝では中本圭哉/鈴木琢巳(福井県庁)をそれぞれ0に抑えて頂点に立った。
船水は2年前に、同学年の星野慎平(早稲田大)とのペアで初優勝を果たしており、2年ぶり2度目の天皇杯優勝。また、上松は初優勝。今夏のアジア競技大会日本代表として活躍した2人だが、その経験も糧に、今大会に臨んだという。
船水は「ずっとアジア大会を目指してきて、それを経て、2年前より幅が広がった部分がある」と自身の進歩への手応えを語り、上松は「アジア競技大会を経験して考え方が変わった。もっと強くならなければ」と自身の変化について口にした。
ペアとしてねらって手にした日本一に満足することなく、ともに今後の国際大会での活躍をあらためて誓っていたのが印象的だった。
一方、決勝で船水/上松に完敗を喫した中本/鈴木だが、準々決勝では、昨年、水澤悠太とのペアで天皇杯を制している村上雄人と林大喜(ともにNTT西日本)の実力ペアに対して、ダブルフォワードでじっくりと攻めていく粘り強いネットプレーが光った。
今大会、勢いのあった社会人ルーキーの村田匠/広岡宙(NTT西日本)にも、逆転勝利。決勝は、船水と上松な完璧なプレーに、「自分たちのパフォーマンスをさせてもらえなかった」とワンサイドゲームとなってしまったが、経験豊富な社会人ペアが相次いで敗れていった中で、ベテランペアが気を吐いた。
天皇杯上位進出者
優勝:船水颯人/上松俊貴(早稲田大)
2位:中本圭哉/鈴木琢巳(福井県庁)
3位:林田和樹/柴田章平(ヨネックス)
村田匠/広岡宙(NTT西日本)
5位:内本隆文/星野慎平(早稲田大)
安藤優作/内田理久(早稲田大)
村上雄人/林大喜(NTT西日本)
桂拓也/高月拓磨(ヨネックス
決勝
船水颯/上松 ⑤-0 中本/鈴木
準決勝
船水颯/上松 ⑤-0 林田/柴田
中本/鈴木 ⑤-3 村田/広岡
準々決勝
林田/柴田 ⑤-1 内本/星野
船水颯/上松 ⑤-4 安藤/内田
中本/鈴木 ⑤-2 村上/林
村田/広岡 ⑤-2 桂/高月
取材・文◎田辺由紀子 写真◎江見洋子 協力◎日本ソフトテニス連盟