レジェンド選手も「思ったより5倍楽しかった」YouTuberまさとの動画撮影は続く!
荻原雅斗のカンボジア通信【不定期連載⑩】
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カンボジアのナショナルチームコーチを務めつつ、まさとMASATOチャンネルでソフトテニスの指導動画を配信するYouTuberまさと。今回はカンボジアではなく日本列島の広島、和歌山、福井を訪問した話を。YouTuberになる前の荻原さんが中高大で戦ったスター選手たちがたくさん登場!
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荻原雅斗/おぎわら・まさと
1990年7月1日生まれ。岐阜県多治見市出身。Global Grow Cambodia 代表取締役社長。青年実業家。 東北高→中京大→カンボジア。ソフトテニスを12年間続け、学生時代に三度の日本一を獲得。現在はカンボジアソフトテニスナショナルチームのヘッドコーチとして活動中。また、教育(スポーツ・音楽・文化交流)という軸でさまざまなプロジェクトの構築を行っている。YouTuberまさととしてソフトテニスの指導動画も配信中
早送りしているかのようにフットワークが細かい
――前回に続いてYouTubeの話を聞いていきます。村上雄人選手が指導動画に登場しました。
僕が中京大時代に村上さんが愛知学院大でプレーしていて、そのころからのお付き合いもあり、今回お願いしました。村上さんは東海地区の大スターで、試合をしたあとに同じ大学生なのにアドバイスを聞きにいったりするぐらいでした。
――それって普通のことですか?
普通じゃないです(笑)。試合ができただけでもうれしいみたいな。ちゃんとアドバイスをくれて、そのときから「強いだけじゃないんだ」と勝手に慕っていました。
――『ライジングの神様』ってすごくいいキャッチですね。
サムネイルを作った時に思いついたんですけど、まさにライジングの『ザ・お手本』という感じでした。コメント欄にもあったんですが、まるで早送りしているかのようにフットワークが細かいんです。あのフットワークは絶対マネできないと思います。身体をコンパクトに使っていて…、まさに精密機械という感じです。
今、あのテンポでライジングを打てる後衛は、村上さんだけだと思います。村上さんも動画で言ってくれていたんですが、身長が小さくてパワーがあるほうじゃないので、どこで差別化するかというときにテンポだったと。視聴者に中高生が多いこともあって、身長が大きくなくてもあのプレーができるんだ、親近感を持てたというコメントが多かったですね。
――丸中大明選手のカットサービスの動画も見られています。
キレッキレでしたね。丸中選手は宮城の中学出身で彼が中3の時に国体予選で試合をしたこともありますが、当時から律儀でマジメで、今回も撮影の1時間前にコートに来てくれました。そういうところは変わってないなと。事前に言うことを準備してくれていて、「そんなことまで言っちゃっていいの」とこちらが心配になるくらい、意識していることや考えてくれていることを惜しみなく、全部話してくれました。撮影もスムーズに進みましたね。
――これを見ればカットサービスをマスターできる動画に?
マネできるというよりも丸中選手のすごさを実感できて、彼の考え方や努力が分かる、上級者向けの動画になったかなと思います。いろんな要素を取り入れていて、考えに考えた結晶があのカットサービスなのだと。
――今後は上級者向けの動画も増やしていく?
僕のチャンネルでは初心者向けと中上級者向けの動画を分けていて、初心者の方には体重移動や審判台を置いてのレシーブ練習などを見てもらいたいです。
僕のテニス人生の壁、中本選手には華がある!
――和歌山でも撮影を。増田健人選手、花田周弥選手、九島一馬選手が登場しています。
増田選手にはずっと出演のオファーをしていて、ようやくタイミングが合ったので、九島選手が練習へ行くタイミングで一緒に片道1時間半かけて行ってきました。当日はこの3人だけだったのですが、少ない時間の中でポイントポイントを押さえた効率的な練習をしていました。仕事も忙しい中で、こうやって感覚を忘れないようにやっているんだなと。花田さんはソフトテニス・マガジンでしか見たことのない人だったので、まさかこんな形で共演できるとは、という感じでした。
増田選手は同学年で、彼は兵庫、僕は岐阜で、中学からずっと試合をしてきた仲です。中1の都道府県対抗全中で僕はメンバーに入っていたのですが、彼は個人戦に出ていなくて、「頑張れよ」と言われて「頑張る」と言っていたのに、次の年になったら増田選手が一気に覚醒して全国トップレベルになっていたという(笑)。身長が伸びたのもあると思うのですが、いつの間にそんなに強くなっちまったんだと(笑)。
――中学時代の増田選手はどんな選手でしたか。
1本シャフトを使って『ザ・後衛』という選手でした。今となってはボレーもスマッシュも超一流のオールラウンダー。今の時代、後衛もボレーしなきゃいけないし、前衛もストロークしなきゃいけないしで、練習してできるようにならないと勝ち残っていけない。時代の変化、競技の変化に適応して勝ち残ってきた、僕らの代のスーパーヒーローが増田選手です。今の日本代表チームには欠かせない存在だと思うので、頑張ってほしいですね。
――コートの外では?
プレーにある激しさがコートの外ではなくて、温厚でいつもニコニコしているというギャップがあります。大事なところで笑いに持っていってくれるし、ラケットを握るとピリッと変わる。今回もすごく前向きに協力してくれて、また来てよとも言ってくれました。花田さんも「思ったより5倍楽しかったよ」と言ってくれて、撮影のコツをつかめたとも。
――福井でも撮影を行いました。
もともとは品川(貴紀)選手が同じ学年で、中学時代から福井と岐阜で練習試合もよくしていたので、2日間にかけて今回、撮影をお願いしました。
――福井県庁は今季から日本リーグに昇格。どんなチームでしたか。
すごくいいチームです。年齢はバラバラですが、誰が年上で誰が年下か分からないくらい、みんなが仲良くやっていて、球出しやボール拾い、コートの準備・片付けも全員でやる。練習も効率よく時間を計ってきっちりやっていました。メリハリがあって、限られた時間で結果を出さなければいけない人たちは、こうやって時間と内容を大事にしてやっているんだなと。
――選手もスターぞろいです。
中本(圭哉)さんは僕の中で特にですね。1学年上で公式戦では中学から合わせて4回やっているんですがことごとく負けています。僕のテニス人生は中本さんがいつも壁でした。
僕が高2の佐賀インターハイの個人戦ではG3-0の3-1までいったことも。2日目の初戦であと1ポイント、しかも余裕で勝っていたのに、そこから逆転負けするという、マンガに出てきそうな展開でした(笑)。当時のことはソフトテニス・マガジンにも書いてもらったんですよ。
――中本選手が主人公で…。
僕はスターの引き立て役で、モブキャラ(笑)。その試合が僕の人生の分岐点になりましたね。人生の大チャンスを逃しました。今でも悔しくて思い出すときがあるくらい忘れられない試合です。
ちなみに初めての全国大会だった都道府県全中でも中本さんに負けています。そのときは全然試合にならなくて、全国にはこんな手も足も出ない相手がいるんだと思いました。
――中本選手はどんな選手ですか。
華があって、バドミントンでいえば桃田賢斗選手のような。コメント欄にも「練習でこれだけ魅せられるのは中本選手だけ」という書き込みがあったのですが、まさにそうだなと。ただのボレー練習なのに見ているだけでワクワクさせられるし、躍動感がある。こういう人を天才というんだろうなと。コートの外では優しい先輩という感じでした。
――今後の予定は?
5月末にカンボジアへ戻るので、それまでに岐阜、福井、広島、東京に行く予定です。
――U-20の北本達己選手がYouTubeを始めました。
北本選手は僕のチャンネルにもコメントをくれて、現役選手がやるのはリスクもあると思うのですが、だからこそ価値があるし、すごいなと。中から発信していきたいという声に関しては、全面的に応援していきたいですね。こちらからオファーをさせてもらって、ゴールデンウイーク明けにコラボする予定です。
写真◎荻原雅斗 取材◎内田麻衣子