YouTuberまさとのチャイナカップ観戦記「黑木キャプテンの安定感、船水人気はワールドワイド」
荻原雅斗のカンボジア通信【不定期連載11】
カンボジアのナショナルチームコーチを務めつつ、まさとMASATOチャンネルでソフトテニスの指導動画を配信するYouTuberまさと。今回は、10月27~ 31日に行われる世界選手権と同じ会場での開催となったチャイナカップ(6月12~16日)について聞いた。台州はどんなところ? 世界選手権日本代表選手たちの仕上がりは?
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荻原雅斗/おぎわら・まさと
1990年7月1日生まれ。岐阜県多治見市出身。Global Grow Cambodia 代表取締役社長。青年実業家。 東北高→中京大→カンボジア。ソフトテニスを12年間続け、学生時代に三度の日本一を獲得。現在はカンボジアソフトテニスナショナルチームのヘッドコーチとして活動中。また、教育(スポーツ・音楽・文化交流)という軸でさまざまなプロジェクトの構築を行っている。YouTuberまさととしてソフトテニスの指導動画も配信中
「自分がプレーしている姿を映像に残したい」という選手の思い
――開催地の台州はどんなところでしたか?
近くに有名な観光地があるわけではなく、コンドミニアムやマンションがいっぱいあって、ベットタウンのような場所なのかなと思いました。近代的な街でしたし、これから発展していくところなんでしょう。治安も良く、お店でぼったくられることもなかったし、安全に過ごせました。気候は、暑かったですが、カラッとしていて過ごしやすかったです。
――会場の浙江省台州スポーツセンターはどんなところでしたか?
いわゆる日本みたいなきれいさではなかったですが、インドアのコートも整備されていて、ちゃんとしていました。インドアコートの上に広いスペースがあって、選手の待機場所にもなっていたのですが、上からテニスコートが見えるようになっていて。そこにイスが用意されていて座って見るという感じです。国際大会を開催する上では不備がない会場かなと。センターコートもありましたが、チャイナカップでは使いませんでした。
――荻原さんの視察目的は?
当初はカンボジア代表も出場する予定でしたが、最後の最後で飛行機代がどうしても工面できず。僕だけイチ観客として行きました。
――大会のまとめの動画がとても分かりやすかったです。編集や撮影のクオリティーが上がっていると感じました。
ホントですか!? そう言ってくれるのはうれしいです。もうちょっとできたかなとは思っているんですけど、コメントで「段取り悪すぎ」というのがあって、ちょっと落ち込んだり(笑)。今回、僕は関係者としていったわけではないので、イチ観客としてできる範囲で撮影しました。
――チャイナカップはこれまでソフトテニス・マガジンでもあまり大きく取り上げる大会ではなく、個人的には興味をもって見ました。
ありがとうございます。
――選手も気さくに撮影に応じている印象でした。
選手からは「発信したいけどどうしたらいいか分からない」「自分がプレーしている姿を映像に残したい」ということを事前に聞いていて、選手たちも日本に映像を届けたいという気持ちが強かったのか、今回は撮影しやすかったです。フレンドリーな国際大会ということもあったと思いますが。
中本/鈴木は大会中ずっとキレッキレ!
――国別対抗、ダブルス、シングルス、ミックスダブルスで日本が優勝。圧勝でしたか?
結果だけ見るとそうなんですけど、中華台北の若い選手もレベルが上がってきているなと感じました。船水颯人選手も国別対抗で一回は勝ったけど一回は負けた。中華台北Aとの準決勝ではアジア競技大会にも出場した選手にファイナルでリードされてからまくったんですけど、決勝の中華台北B戦では無名の若い選手に敗れています。
北朝鮮も強かったですね。日本の選手がシングルスで負けた試合もあって、全体的なレベルが上がってきているなと思いました。韓国も大学生が主体のチームでしたが、中華台北と北朝鮮のほうが勢いがありました。
――世界選手権に出場する3選手は手ごたえを感じているようでしたか。
尾上胡桃選手(日体桜友会)はシングルスでは優勝し、国別では中国と中華台北に負けています。課題が見つかったのではないでしょうか。
黑木瑠璃華選手(ヨネックス)は一番安定していました。ダブルスでも貝瀬ほのか選手(ヨネックス)と組んで優勝して、相手の打つボールをとにかく決めまくっていましたね。世界選手権でも活躍してくれるだろうなと思います。去年アジア大会ではプレッシャーを感じている場面も見かけたのですが、チャイナカップでは堂々としていて、これぞ日本のキャプテンでした。
――4月にプロになってから初の国際試合を戦った船水颯人選手は(ヨネックス)?
大会会場で話すのは久しぶりだったのですが、風格がありましたし、プロとしての見せ方をすごく考えていて、覚悟が違うなと。選手の中でもダントツで人気があり、海外選手ともしっかりコミュニケーションをとっていました。
――日本を代表する存在?
完璧にそうなってますね。むしろ、世界のハヤト・フネミズです。女子選手からの人気もすごくて一緒に写真をたくさん撮っていましたし、いろんな国が船水選手を偵察していて、世界選手権ではもっと研究されてくるんだろうなと。おそらく船水選手もそれを意識して考えながらやっていたと思います。世界選手権に向けて布石も打っていたと思うので。もう戦いは始まっているんだという感じがしました。
――荻原さんにとってのMVPは?
福井県庁の中本(圭哉)/鈴木(琢巳)ですね~。真剣な中にも笑いを入れてくるというか、試合前でめっちゃ集中してるんでしょうけど、こっちを向いて顔を決めてくれたり(笑)。
――鈴木選手のスマッシュが金網にめり込んだというツイートもありました。
あれはバズりましたね(笑)。チャンスボールがネット前に上がって、それをフォローされないように打ったら、めちゃめちゃバウンドしちゃったという感じです。大会の最初から最後まで中本/鈴木はこんな感じでキレッキレでした。中本選手はベテランらしく、試合中のプレー以外の部分の駆け引きも絶妙で。国際大会の勝ち方を知っていると感じましたし、国内大会とは違う戦い方をしていました。
2人とも、国際大会だからと構えている感じも全くなくて、むしろリラックスしていましたね。鈴木選手は、どこに行っても変わらないと思いますが(笑)、あのパワーが国際大会ではますます引き立ちましたし、次は代表に入ってほしいなと心から思いました。
チャイナカップ国別対抗戦決勝戦の鈴木選手のスマッシュが3メートル近くバウンドしたうえ、フェンスにめり込んで、そのあとスタッフがよじのぼって、会場中がスタンディングオベーションになるシーン。笑 pic.twitter.com/bKXXvmLe1n
— まさと??カンボジアでソフトテニスを教える人 (@masato_ogiwara) 2019年6月15日
――世界選手権の日本代表組以外で印象に残った選手は?
大槻麗選手(ダンロップ)はガッツもあって、大会を盛り上げていた印象が強いです。タフな感じでずっと動き回って声を出してという感じでした。
――荻原さんといえば、増田健人選手(和歌山県庁)。
今回はダブルスもシングルスも不発ではあったのですが、中本選手のようにベテランとして精神的な柱になっていると感じます。僕らの代の最後の砦なので、あと10年くらい応援したいですね。まだまだやってくれると思います。
――今後の荻原さんの活動予定を。
まず一つはカンボジアチームを世界選手権に向けて強化するというのがあり、YouTubeの動画も撮りたいので、7月末くらいから日本でいろいろな選手を撮らせてもらう予定です。
今回チャイナカップでは、中国、韓国、中華台北の人から動画見てるよ、チャンネル登録しているよって声をかけてもらいました。そういうつながりも面白いと感じたので、ますます力を入れてやっていきたいです。
――日本語でも見られている?
最初の頃は英語字幕を入れていたんですが、入れても入れなくても動画の再生数はそんなに変わらなったので。言葉が分からなくても、映像から伝わるものってあると思うんですね。今後は、「あゆタロウ君にできなくて、僕ができることは」というのをもっと考えて、追及してやっていきたいと思います。
写真提供◎荻原雅斗 取材◎内田麻衣子