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2020.08.26

【岡山県高校総体代替大会】インハイ中止もラケットを置かずに「やりきった」岡山南の集大成

男子団体戦:岡山県高校総体代替大会◎7/26、8/1-2 岡山県浦安総合公園テニスコート、岡山県備前テニスセンター

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高校のソフトテニスをやりきった岡山南の3年生と、藤澤一輝監督。見守った2年生にとっても誇らしい戦いだったはずだ

 史上初めてインターハイが中止となった今夏、各地で自治体独自の高校総体代替大会が開催された。ソフトテニス・マガジン10月号(8月27日発売)でも高校生の最後の戦いをお伝えしているが、ここでは、今春の全日本高校選抜に出場するはずが中止となり、インターハイでの雪辱もかなわなかった悔しさを乗り越え、集大成の大会として県高校総体代替大会に臨んだ岡山南(岡山)の戦いを取り上げる。

選抜用の新しいウエア

 岡山県高校総体代替大会の男女団体戦は、岡山県浦安総合公園テニスコートと、岡山県備前テニスセンターで行われた。8月2日の最終日、2016年のインターハイ全国大会の会場となった備前テニスセンターは、強い日差しと高い湿度のタフなコンディション。予選リーグを勝ち抜いた男子18校、女子12校が岡山の頂点を目指して決勝トーナメントに挑んだ。

 岡山南の男子ソフトテニス部は、青を基調とした新しいウエアを着ていた。7年ぶり8回目の出場が決まっていた春の全日本高校選抜に向けて新調したものだ。

 だが大会は中止となり、12年ぶりの団体戦出場を目指したインターハイも中止に。それでも、藤澤一輝監督が「まだラケットを置くのは早いんじゃないか」と語りかけた9人の3年生は、代替大会を目標に部活動を続け、この日を迎えていた。

代替大会は無観客、選手も試合時以外はマスクを着用するなど感染防止対策を徹底して開催された。試合前に健闘を祈るグータッチ

 岡山南の最終目標は、昨年まで5年連続29回のインターハイ団体戦出場を誇る岡山理大附に勝ち、県の王者となること。その前に、準決勝が大きなヤマになると目されていた。順当なら対戦するはずの明誠学院は、14年ぶりの優勝を果たした昨年12月の全日本高校選抜・岡山県2次予選会で唯一、敗れている相手。ここを勝ち抜き、決勝で岡山理大附に勝つのが最高のシナリオだった。

 岡山南はトーナメント1回戦と2回戦を順調に0で勝ち抜いて準決勝へ。ここで予想通り、明誠学院と対戦するが、3面展開の戦いは序盤から苦戦を強いられる。

「恥じることはない」

 3番は2年生後衛の光岡俊と、3年生前衛の渡邊悠陽のペア。第1Gを0で失うと、第2Gも先行される展開から巻き返し、3回連続でゲームポイントを握ったが、あと1本を取りきれずに奪われてしまう。その後も2人は動きが硬く、最後まで相手の勢いを止められないまま0で敗れた。

 1番はダブルフォワードの3年生ペア、井田航大/古市裕哉。こちらも最初の2Gを取られる苦しい展開となった。持ち味の前に詰めるプレーで第3Gを取り、第4Gも2-0と先行したが、そこから4連続失ポイントで奪われ、王手をかけられる。

 2番では雁行陣の3年生ペア、後衛の槙野晴人と、前衛でキャプテンの小倉光騎が粘りの戦いを続けていた。G2-2の競り合いから第5Gを取られたものの、第6Gを取って追い付く。ファイナルに向けて水分補給をしていた、そのときだった。

 1番のコートで大きな声が上がった。井田/古市は第6Gもデュースの末に奪われ、G2-④で敗戦。後ろを振り返った小倉はチームの敗退を知り、天を仰いだ。

キャプテンとしてチームを引っ張った小倉

3年生後衛の槙野晴人

 岡山南の挑戦は、3位という結果で幕を閉じた。悔しさと充実感が入り混じった表情を浮かべる選手たちを前に、藤澤監督は静かに語りかけた。

「どうだ、やりきったか?」

「お前たちは県で優勝して、中国地区予選会で41年ぶりに優勝して、勝つ楽しさを知った。さあ行こう、というところで全国大会がなくなって、つらい思いをしたと思う。でも、新型コロナウイルスの影響がある中でも一生懸命やろうと決めて、やりきった。よく頑張った。恥じることはない。そして、この大会ができたことに感謝しよう」

 表彰式を終えた小倉も、清々しい表情で語った。

「優勝したいと思っていたので、悔しい思いはあります。でも、今日は楽しむことができました。ずっと槙野と組んできて、今までで一番楽しくプレーできたと思います。代替大会が決まってからは、この大会に向けてモチベーションが高まっていました。練習でも、あまり声は出せませんが、3年生が盛り上げることができた。やりきれました」

 3年生の高校ソフトテニスには、一つの区切りがついた。だが、岡山南の歴史は続く。準決勝で悔しい敗戦を喫した光岡が新チームのキャプテンに就任し、再び全国大会への扉を開くべく、練習が続けられている。

取材・文・写真◎石倉利英

ダブルフォワードの一角、3年生の井田航大

ダブルフォワードの一角、3年生の古市裕哉

3年生前衛の渡邊悠陽

3年生後衛の川井雅偉

3年生前衛の髙城昇生

男子団体戦を制したのは岡山理大附。明誠学院との3番ファイナルにもつれ込む激闘を制した