12月中旬の日本リーグ7~8位と、11月の実業団リーグ1~3位の合計5チームによる日本リーグ入替戦。2日間の総当たり戦で決定した1、2位は来季、日本リーグで戦う。広島県・福山市のエフピコアリーナ福山で熱戦が繰り広げられた。2日目の12月27日は、男子が日本リーグ8位の宇部興産、女子は同8位のアドマテックスが優勝し、1部残留を決めた。
念願かなった東京ガス
男子は、最終戦までどこが昇格するかわからない大混戦だった。2日目の3巡目で東京ガス(実業団リーグ3位)がすべての試合を終え、3勝1敗で締めくくると、あとは2勝の東邦ガス(日本リーグ7位)と、3勝の宇部興産(日本リーグ8位)のカードが残った。
この一戦を東邦ガスが制すれば、3勝が3チーム並び、来季の日本リーグをどのチームが戦うか、すぐには分からない様相に。2週間前の日本リーグでは、東邦ガスが②-1で勝っており、19年実業団優勝チームに分があるといえた。
しかし、この難敵を宇部興産は突破した。河村侑哉/越智大輔が、ナショナルの安藤圭祐と、全国タイトルホルダー・小栗元貴をG④-1を下す大仕事をやってのけると、次に主将の荒尾大輔が、今大会絶好調の19歳・大友駿に勝利する。
荒尾はここ2年、大友に日本リーグで負けているが、「大友選手がどんな試合の組み立てをするか研究して臨んだ」という成果を発揮。4ゲーム目まで競り合うが、いつものように「おりゃっ」と気迫を全面に出してG④-2で勝ち、チームの優勝も決めてみせた。
川村達郎監督は「混戦だったので、最後までどうなるかわかりませんでした。でも、最終戦で勝てばとにかく結果は得られる。選手には、いろいろ考えず勝ちにいこうよ、と話していました」と振り返った。
実は、男子5チーム中、4チームがナショナルメンバーを擁していたが、唯一、宇部興産のみナショナル不在。選手はいわば、大半が宇部興産に入社して強くなっていった「たたき上げ」だ。そんなたくましい雑草集団が、瀬戸際でしっかり踏みとどまった。
なお、2位には東京ガスが入り、初めて日本リーグ行きの切符をつかんだ。神保正和監督は、「やっと念願がかないました」と万感をにじませる。来季へはこんな目論見も。
「今回、2位なので、来季の日本リーグでは、初戦でNTT西日本と当たるはず。今回、初戦で東邦ガスに勝って波に乗れたので、日本リーグでも、王者・NTTに勝ってリーグを湧かせて勢いづきたい」。若い選手が多いだけに、1年後、いまよりいっそう強くなっていそうだ。
惜しくも3位で日本リーグから降格した東邦ガスは、宇部興産に敗れるとうなだれていた。今井快幸主将は、「基礎から見直して、絶対にまた日本リーグに戻ってきます」と誓っていた。
1年前の決意実ったアキム
女子のアドマテックスは、第3戦で③-0でサニーブリーズに勝ち、最終戦を待たずして日本リーグ残留を決めた。第3戦まですべて③-0の圧勝。城山観光との第4戦では3番こそ落としたが、1、2番は競り合いながらもきっちり勝ち、文句なしの優勝だった。
松田彩野と組み、4戦全勝だった坂本茉梨乃主将は、「日本リーグでは、気持ちが引いていたので、とにかく挑戦者の気持ちでと、みんなと心を一つにして、試合に向かっていきました」と勝因を明かす。同じく4戦全勝だったナショナルの那須暁帆は、「入替戦で課題も見つかったので、日本リーグではレベルアップし、優勝めざして頑張ります」と気を吐いていた。
2位には、アキムがランクイン。ベスト、城山観光との混戦を最終戦で抜け出し、初めて日本リーグ昇格を決めた。小野夏海主将は「信じられないです。ずっと日本リーグに行きたいと言ってきましたが、本当に絶対に行くんだと、みんなで決意したのが1年前くらい前。そこから一生懸命やって思いを実現させました」と声を弾ませていた。
埼玉県に拠点を置く瑞々しいチーム。来季、フレッシュな旋風を吹かせにかかる。
【入替戦順位】
■男子
①宇部興産(4勝)
➁東京ガス(3勝1敗)
③東邦ガス(2勝2敗)
④日本信号(1勝3敗)
⑤和歌山県庁(4敗)
■女子
①アドマテックス(4勝)
➁アキム(2勝2敗)
③ベスト(2勝2敗)
④チームサニーブリーズ(1勝3敗)
⑤城山観光(4敗)
取材・文◎鈴木快美 写真◎宮原和也