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【日本代表史・アジア競技大会編】④対韓国にかけてきた時間の集大成。三番勝負を制して2大会ぶりの団体金を獲得!

監督、スタッフとともに団体優勝を喜ぶ選手たち

 1990年のアジア競技大会(北京)で公開競技として採用され、その大会で団体戦を優勝した日本女子。しかし、正式種目となった1994年から頂点が遠かったが、2010年の第16回大会で、悲願の団体優勝が見られることになる。そして、2018年は韓国との激闘の末に栄冠をつかんだ。

 日本代表のメンバーは黑木瑠璃華(ヨネックス)、高橋乃綾、半谷美咲(どんぐり北広島)、林田リコ(東京女子体育大)、尾上胡桃(日本体育大)の5名に決まった。齋藤広宣監督から主将に指名された黑木は2016年アジア選手権の個人戦に出場しているが、国際大会で団体戦の経験はない。そして、残りの4名は日本代表自体が初となり、経験不足が懸念されていた。

高橋が日本初のシングルス金メダルを獲得

 1年間で200日の合宿を行ってきた韓国に対して、日本はナショナルや代表合宿の回数も少ないため、個々にフィジカル面の重要性を説いて、目標数値などを設定。それぞれの取り組みに任せられた。

 大会序盤、シングルスで高橋乃綾が大仕事を果たす。準々決勝で韓国のエース、キム・ジヨンを破ると、決勝戦では台湾のエース、鄭竹玲にも競り勝つ。これがアジア競技大会のシングルスで日本史上初の金メダルだった。初の舞台で、一気に頂点まで駆け上がったのだ。また、尾上胡桃は8強で敗退したが、予選で韓国のキム・ヨンヘを破る。この結果が相手ベンチを迷わせることに。お互い団体戦のシングルスで対戦すると見られていたが、韓国はキム・ジヨンを団体戦のシングルスに起用することになったのだ。これが最後に影響することに……。

一気に頂点までかけあがった高橋。偉業達成に最初は驚いた表情だったが、本人も「少しずつうれしさが出てきた」と話した

 

三番勝負にすべてを出した林田/黑木

 団体戦の予選を快勝した日本は準決勝で台湾にも勝利して、想定した韓国との決勝戦に臨む。1番に起用されたのは高橋/半谷。今大会は個人戦ダブルスがなくなるという異常事態もあり、半谷は今大会初登場。序盤こそ韓国のムン・ヘギョン/ペク・ソルに0-2とリードを許すスタートだった。半谷はこう振り返っていた。
「普段通りを出せればと思っていましたが、それが簡単ではなかったので、高橋と普段よりもコミュニケーションを取りました」

 試合はファイナルにもつれる。韓国は2番のシングルスに大黒柱のキム・ジヨンを起用していたので、日本にはプレッシャーがかかる。長い時間を費やしたが、最後は⑩―8で高橋ペアが競り勝った。

高橋/半谷は普段よりも話す時間を多くしたという

 シングルスは韓国のジヨンがG④-1と尾上胡桃を退けた。勝敗の行方は林田リコ/黑木瑠璃華に委ねられた。お互いミックスダブルスで金メダルを獲得できなかったが、好調を持続していた。林田は「回ってこいと思っていました」と後に振り返ったほど、自信にも満ちあふれていた。

 日本の二人は焦ることなく、強引に決めにいくというよりも誘うことを中心に戦う。最後は林田のサービスエースでG⑤-2と勝利して、2大会8年ぶりの団体金メダルを獲得した。黑木は幅広く動いて、相手ペアをゆさぶった。それを最後の緊迫した決勝でできるのだから、フィジカル面を鍛えた成果も出た。苦しい道のりだったが、最後にすっきりするような気持ちのいい戦いぶり。黑木自身初の主将だったが、経験の少ないチームをうまくリードした。

シングルスで相手エースに敗れた尾上だが、大きな経験になった

冷静に戦い、強い試合を見せた林田/黑木

苛酷な練習を乗り越えただけに、喜びを爆発させた選手たち

 

 

写真◉小山真司
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