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【日本代表史・アジア競技大会編】⑤国際大会シングルス負けなしの韓国王者、キム・ジヌンを知っていますか? 

2018年アジア競技大会でのジヌン

 1990年のアジア競技大会(北京)で公開競技として採用され、正式種目となったのは1994年から。五輪競技ではないソフトテニスにとって、最高の大会になる。もちろん、ライバル韓国、台湾と名勝負を繰り広げ、その勝敗がメダルの色を変えてきた。特に、韓国には絶対的な選手の存在がいた時が多く、それが日本を苦しめた。

 アジア競技大会に1994年から4大会連続出場して金メダル5、銀メダル3、銅メダル2と、出場した全種目でメダルを獲得したユウ・ヨンドン。2002年大会でバズーカサービスを披露して、世界を驚かせたキム・ヒースー。そして、現在のレジェンドと言えば、キム・ジヌンかもしれない。国際大会のシングルスで負けなし。特に、ハードコートの特性を生かして、ほとんど自分から決めにいかない。長い持久戦に持ち込み、終盤に相手をノックアウトする。

 2018年のアジア競技大会、シングルス予選プールで同組だった船水颯人は0で敗れる。そして、団体戦のシングルスで再戦した時は自分から決めにいかず、ジヌンのスタイルに付き合う戦術で対抗。攻撃的なストロークやサービスは封印したのだ。7Gマッチの決着は70分後。そんなに長い試合を見たことがあるだろうか。足をつった船水がメディカルタイムアウトを取ったが、その間、ジヌンも苦しそうで、試合直後のジヌンは選手2人に抱えられて退場した。

2018年アジア競技大会、国別対抗シングルスでジヌンと激闘の末敗れた船水颯人

2018年アジア競技大会国別対抗シングルスで勝利したが、直後は立てないほどだった

 ジヌンは持久力に優れて、韓国ではコントロールプレーヤーと呼ばれている。
「自分にはパワーがないし、攻撃的なスタイルだとミスも多い」と本人が話すように、自分自身をよく知り、そのスタイルを選択して磨いている。

 2015年の世界選手権(インド)で国際大会デビューして、2018年アジア競技大会、2019年の世界選手権までシングルスでは全勝だ。2019年の国別対抗のシングルスで対戦した内本隆文は十分にジヌンの戦い方を理解して、対策を練ってトライしたが、コートを前後左右と振り回されて、完敗。「深いボールでつなぎ、ツイストで走らせるつもりが、気づくと相手のペースで走らされていた」と内本。

2019年世界選手権の国別対抗のシングルスでジヌンと戦った内本

2022年のアジア競技大会で再戦できるだろうか

 その世界選手権のシングルスでジヌンと再戦した船水颯人はファイナルで敗れる。
「手応えはありましたが、あと1本が遠かった。直すべき点は分かった」と話している。

 さて、来年9月のアジア競技大会にジヌンは出場してくるのだろうか。コロナ禍で状況は分かりにくいが、出場すれば必見の試合になるだろう。国内の中高生が試合を見てどう感じるのか。興味深い点だ。

写真◎小山真司(2018年アジア競技大会)、井出秀人(2019年世界選手権)

 

 

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