【高校界の名将シリーズ】ソフトテニス発展のために尽力――教え子が振り返る西森卓也先生[奈良・高田商業]その指導者像に迫る②牧知秀(岡崎城西高監督)
第2回◎牧知秀(岡崎城西高監督)
2022年インターハイまであと数週間。そのインターハイで優勝回数歴代1位を誇る、奈良の高田商業について、今回。振り返っていく。ここでは、2022年7月号のソフトテニス・マガジンにもご登場いただいた、高田商業の前々監督の西森卓也先生の指導者像に迫っていく。
今回は、チームでは監督、クラスでは担任であった西森先生と接してきたという、岡崎城西高の牧知秀監督に、高商時代を振り返っていただく。牧監督のお話からは、西森先生が技術だけではなく、『勝負』というものを教えていこうとする姿勢がうかがい知れる。
牧 知秀(岡崎城西高監督)
今、僕が指導者となってからも、西森先生にはいろんなヒントをもらって、それを持って帰って練習しています。練習のメニューややり方、声のかけ方……など、本当にいろいろなこと、ですね。
高校時代は……僕らへたくそだったんです(笑)。1コ下が強かったんですよ、インターハイも優勝してね。
――西森先生は戦力が揃っていない年の方が(日本一の)勝率がいいとうかがいいました。
そうなんですか……いや~それは、本当にすごいですよね。すごいとしかいいようがない。勝って当たり前と言われるチームなんですよね。高田商業というチームは。その中で結果を出してきた先輩方、後輩もすごいですしね。
西森先生、ベンチワークがすごいですよね。そうなるように導いていくというか。戦術、言葉がけ……。いろいろな話をするときに、「こうなったら、こうやろ」って。だから、そうなるように導いているし。指導者になって質問しに行っても、「勝負事とは」みたいな話もしてくださるんですよ。「勝負ってそんなもんや」とかね。知らず知らずに、刷り込み方とかね。勝ち負けに対する話の仕方とかね。
僕ら、尋常でないくらい、(テニスに)時間を費やすじゃないですか。その中で、西森先生も一緒にコートにいてくれる。当時は、「こんなに練習するのか?」って思うこともありましたけど(笑)、でも、それだけ(西森先生は)時間をかけてくれている。やってくれたことは、今思うと、本当にすごいです。なんか、本当に「すごい」としか言えないですね。
僕は西森先生が高3のときの担任でもあったんですよ。クラスにいるときの先生も、コートと同じで冷静でした(笑)。ただ、卒業のとき、教室で僕らに歌を歌ってくれたんですよ。卒業式の日、最後のホームルームで、アカペラで。長渕剛の『祈り』という歌だったんですよ。西森先生が一番好きな歌らしいんですよ。そのときは、コートでもクラスでもお世話になっていたから、そのとき、僕は大号泣で。
――高田商業は、卒業後に教員に、ソフトテニスの指導者になる方の率が高いですよね。母校を倒せるよう頑張っていく。そういう気持ちが、みなさんにはあるんですよね?
いやね~カベは分厚いですよ。まだまだ足元にも及ばないです。そこに(高田商業)ならえではないですけど、少しでも近づいていきたいですよね。
(西森先生は)勝負事に対しての厳しさがすごいんです。勝負師なんです。勝ち負けがつくことに対しては、こだわりますよね。じゃんけん一つをとっても。なんでも負けないんですよ。
西森先生は数字に強い。計算が早いし。めちゃめちゃ細かい部分もありますしね。緻密さですよね。僕もそういう緻密さがほしい。まだまだ発展途上です!
西森先生も紙森先生も、上宮の小牧先生(牧監督が天理大時代のコーチ)も渡海先生も「どうしたらいいですかね」と話すと、答えやヒントをくれる人が周りにいるんでね。本当にありがたいですよね。
もう一歩、行きたいですね。カベは分厚いんですけどね。頑張ります!