日頃の練習や試合で気になるメンタルの疑問への考え方を、専修大学の佐藤雅幸先生に解説いただく本連載。第四回のテーマは、成功するためのブレーンであるテニスノート。頭の中にあるさまざまな考えを書き出し自問自答することは、問題解決能力を高めることにつながる。
書き出したことを読み返し、自己評価をしてみる
佐藤雅幸(専修大学教授)
これまで多くのトップアスリートの心理サポートをしてきてきましたが、彼らには共通する優れた能力があることに気がつきました。それは豊かな感性と学ぶ能力の高さで、競技に対して真摯に向き合い、自分を成長させるための努力を怠りません。
しかし、どんなに努力をしても好不調の波はあるもので、悩みのループに陥ってしまうことがあると話してくれました。そんな時は、これまで書き留めてきたノートを読み返しながら、不調になった原因を突き止めるのだと言います。試合後に敗因を頭の中だけで考えていると逆に混乱してしまうもの。だからこそ、頭の中にある考えや感情をノートに書き出してみてください。一旦、自分の外に出してみると客観的に物事を捉えられ「心の整理整頓」をすることができます。
では、何を書くのか。いざノートに向かうと、何を書いたら良いのか分からなくなるという人が多いのではないでしょうか。試合結果だけではなく、なぜそうなったのかについてのプロセスを書き出してみると良いでしょう。初めのうちはすぐに筆が止まってしまうかもしれませんが、自問自答しながら書いていくと、徐々に内容が濃くなっていくはずです。
そして、自分の文章を読みながら「ははぁ~、なるほどね~」、「君はそう思っているんだ、俺ならこう考えるけどね」などと独り言をいいながら書くと良いです。いわゆる、一人二役です。自分を自分で褒めながらノートを作成すれば、身体の中にプラスのエネルギーが満ちあふれてきます。