ルーセントカップ 東京インドア 全日本大会が15日、東京体育館で行われた。全国からトップレベルの男女それぞれ8ペアが集結。女子は、決勝戦で、高橋乃綾/半谷美咲(どんぐり北広島)が、G⑤−4で貝瀬ほのか/渡邉絵美菜を下し、3年連続5度目の日本一に輝いた。
今年で63回目を迎える今大会。3連覇を狙う高橋/半谷は初戦から苦しい戦いだった。笠井佑樹/久保晴華(ナガセケンコー)では、笠井の中ロブや短いボールに苦しみ、ファイナルゲームにもつれ込んだ。ただ、そこでバタつかないのが、インドアの女王の強いところ。ファイナル⑦−5で初戦を突破すると、続く鈴木理奈/白崎ひかる(東京女子体育大)、馬渕詩/竹田茉由(三重高)にはそれぞれ失ゲーム0。圧倒的な強さで決勝トーナメントに進んだ。
準決勝では、原口美咲/宮下こころ(明治大/ルーセント)と対戦。G2−0から1ゲームを追い上げられるが、それ以上の反撃を許さない。デュースが続いた4ゲーム目を⑦−5で奪うと、そのままG⑤−1で勝利。決勝進出を決めた。
決勝は初出場、貝瀬/渡邉との対戦。昨年4月、同じ会場で行われた女子選抜ではG⑤−2で下していた相手だった。しかし、この日は、互いにサービスゲームをキープする展開。先にブレークしたのは、高橋/半谷だった。G2−2の5ゲーム目、高橋がスライスで相手を前に出し、半谷が浮いた球を叩く。得意の展開に持ち込み、⑦−5でレシーブゲームを奪った。ただ、「その後だったんですよね……」と高橋が振り返るように、続く6ゲーム目はファーストサービスが入らず、相手にブレークされた。「あそこでしっかりサービスを入れて、(ゲームを)とっていればもう少し楽な試合展開になったかもしれません」と高橋は反省の色も見せる。そのまま、互いに譲らず、試合はこの日、2度目のファイナルゲームになった。
ファイナルゲームも高橋/半谷がダブルフォアードで攻めるのに対し、貝瀬/渡邉は雁行陣で勝負する展開は変わらなかった。先にマッチポイントを取ったのは、貝瀬/渡邉。カウント5−5から、高橋のボレーミスを誘い、5−6。しかし、そこで、高橋が切れ味の鋭いカットサーブを決め、半谷のスマッシュでデュースに戻す。
続く、高橋のレシーブで相手のミスを誘い、7−6に。ただ、ここで渡邉が魅せる。高橋の強く叩いたハイボレーを至近距離でフォロー。再びタイに戻った。その後も両者合わせて6本のマッチポイントを凌ぎ11−11に。最後は、アドバンテージを奪った後、半谷が近距離での攻防を制し、渡邉のハイボレーがアウトに。激闘を制した。
半谷は今年3月で引退を決めている。連覇をかけて挑んだ皇后杯は鈴木/白崎に敗れ、3位に終わっていた。「全日本が終わってから、正直モチベーションが難しい部分がありました」と半谷。ただ、この日は、文大杉並高時代の同級生ら、友人も多数応援に駆けつけた。「少しでも、見にきてくれた人たちを喜ばせたいなと。勝ててホッとしました」と笑顔が弾けた。
高橋/半谷で組む個人戦は残り2試合。高橋も「寂しいですけど、このペアだから勝てるようになりました」と感謝し、「次は自分が先輩として後輩を引っ張っていけるように」と前を向く。女子選手では珍しいダブルフォアードを極め、インドアの女王と呼ばれた8年間のペア生活。残り2試合全力で楽しむつもりだ。
▼準決勝
高橋/半谷⑤―1原口/宮下
貝瀬/渡邉⑤―0笠井/久保
▼決勝
高橋/半谷⑤―4貝瀬/渡邉