東京・有明テニスの森で史上初のハードコートでの全日本選手権が開幕した。1日目の17日は朝からあいにくの雨により、インドアコート6面(男女3面ずつ)で1回戦がスタート。午後15時30分以降屋外コートも使用できるようになり、コロシアム、ショーコート、屋外コート、インドアコートで残りの1回戦と2回戦が行われた(消化できなかった2回戦は翌日に持ち越し)。
今回、初めてクラブチームから出場した全中で個人王者となった前田蒼生/荻谷侑磨(姫路ファミリークラブ)は1回戦で三重高の青木吟斗/吉村拓海と対戦。高校生ペアにG4-1とリードを許しながらも、前田がラリーの中でカットストロークを織り交ぜたり、荻谷が自分でポイントパターンに持ち込んだりし、1ゲーム挽回したが、青木/吉村が振りきった。
試合後、悔しい表情をうかべた中学2・3年ペアは小学3年・4年からペアを組み、ペア歴が長い。大きな大会でペアを組むのは今大会が最後だった。「ハードコートでの戦法もわからず、また初めての全日本選手権で緊張やプレッシャーもあり思うようにできませんでした。」(荻谷)「僕も雰囲気にのまれ、思うところに打てませんでした。ボールも跳ね、その対応に精一杯で」と前田。
だが、随所に資質の高さを見せるプレーを披露。「前田君は発想力が豊かで対応力もあります。荻谷君はサービス&レシーブも安定し、何よりも前での決定力もあり、躍動感あるプレーができます」と上野敦史監督。次回、出場する全日本選手権では、今回の悔しさを糧にふたりには思い存分コートを駆け回ってほしい。
2回戦が始まり、シード勢が続々登場。その中、第1シードは4連覇を狙う船水颯人/上松俊貴(稲門クラブ/NTT西日本)。初戦は、1回戦で大学生ペアを破った上宮高の三上柊二/平井啓吾と対戦。高校生の渾身の打球も華麗にボレーするなど、圧巻のプレーを見せつけ、G⑤―0。今大会でも次元の高いテニスを展開する王者・船水/上松。V4に向けて、どのような勝ち上がりを見せるか。さらに、昨年準優勝の上岡俊介/丸山海斗(Up Rise)もダイナミックなプレーで初戦(2回戦)を完勝し、好調さを示した。シード勢の戦いにも大いに注目していきたい。
全日本最高峰の戦いだけに、明日2日目の3回戦で昨年16強、今年度インハイチャンプの坂口生磨/野本凌生(尽誠学園)とU20の橋場柊一郎/ナショナルチームの菊山太陽(法政大)が激突するなど、興味深い対戦が目白押し。ハードコートでの初の王者を目指し、明日も激突が続く――。