今年、東京・有明のテニスの森で初めて開催された全日本ソフトテニス選手権は、大会史上初のハードコートでの戦いとなった。19日の最終日は男女ともに準々決勝から行われ、熱戦が繰り広げられた。注目の男子決勝には、史上初の4連覇を狙う第1シードの船水颯人/上松俊貴(稲門クラブ/NTT西日本)と、第2シードの広岡宙/長江光一(NTT西日本)が駒を進め、広岡/長江がG⑤―4で接戦を制し、ハードコートでの初の全日本王者となった。
史上初のV4を目指す王者・船水颯人/上松俊貴(稲門クラブ/NTT西日本)は、準決勝で好敵手であり、10月のアジア競技大会(中国・杭州)でともに日本代表だった内本隆文/内田理久と対戦。互いに手の内を知る相手であり、駆け引きをし合う中、船水/上松はG3-1のリードから第5ゲームを奪われたものの、第6、第7ゲームをしっかり奪取し、G⑤―2。4大会連続で決勝進出を決めた(2020年、2021年は新型コロナ感染症拡大により中止)。
逆側のトーナメントからは、第2シードの広岡宙/長江光一(NTT西日本)が決勝へ。ダブルフォワードの陣形で攻撃をたたみこむ広岡/長江は、準決勝で唯一勝ち残った学生ペアの荒木駿/矢野颯人(早稲田大)にG⑤―1で快勝。広岡は初の決勝戦へと駒を進めた。
第1シードと第2シードによる決勝。前半は「打倒! 船水/上松」の対策を考え、練習を重ねてきたという広岡/長江はG3-1とリードを奪う。だが、王者はここから上松がレシーブからローボレーを決めるなどし、3ゲーム連取してG4-3と逆転した。
第7ゲーム後のサイドチェンジの際、長江が広岡に「ここを乗りきれば、もう一段階強くなれる」と声をかける。「自分が受けてしまい、逆転されましたが、長江さんのひと言で割りきれました」と広岡。これまで以上にボレーやストロークなど、緩急をつけ、コントロールした広岡/長江はG4オールに並び、ファイナルゲームに持ち込む。
「(ファイナルの)1ポイント目、2ポイント目を意識していた」広岡/長江は、2-0、4-2と先行。その後も互いに集中したラリーの中、2-⑦で王者・船水/上松を振りきり、広岡は初、長江が9年ぶり(7大会ぶり)に制覇した。
リードを挽回されながらも12歳年上の長江が的確な声掛けをし、広岡が短時間で立て直した。ベテランの経験値と若手の爆発力が奏功した優勝だった。