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2024.08.23

『みんなのインターハイ』特別編・3年間ずっとキャプテンだった笛吹・河西穂果の2年ぶりの団体戦「最後に団体戦に出場できて、すごく楽しかった」

インターハイ2024:女子◎7/26-28 長崎県長崎市・ベネックス総合運動公園(長崎市総合運動公園)かきどまり庭球場

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2年ぶりのインハイ団体戦。河西は2年前と同じ根尾とのペアでコートに立った

 8月27日(火)発売のソフトテニス・マガジン10月号では、北部九州インターハイを大特集。長崎県長崎市のベネックス総合運動公園(長崎市総合運動公園)かきどまり庭球場で行われた男女の熱戦を、42ページの大容量で詳しくお伝えします。

 収録している企画の一つが、毎年恒例となっている『みんなのインターハイ』。晴れ舞台に臨んだ選手やチームの特別な思い、舞台裏のドラマを、男女それぞれピックアップしてお届けします。今回ソフトテニスマガジン・ポータルでは特別編として、本誌に掲載できなかった女子のエピソードを紹介。高校3年間をキャプテンとして駆け抜けた、笛吹(山梨)の河西穂果が臨んだ最後のインターハイを追いました。

団体戦初出場から右ヒザの手術へ

 7月28日の女子団体戦。2年ぶり2回目の出場を果たした笛吹が、高岡商業(富山)との1回戦に臨んだ。2番で登場したのは河西穂果/根尾心咲。このペアがインハイ団体戦に出場するのも2年ぶり2回目だった。

 2022年7月、笛吹は愛媛県今治市で行われたインハイで団体戦初出場を果たし、福井商業(福井)との1回戦の1番で登場したのが、1年生ペアの河西/根尾。2で勝って先手を取ったものの、2番と3番が敗れ、惜しくも初戦敗退となった。

 このとき笛吹のメンバーは河西/根尾だけでなく、8人全員が1年生。同校の女子ソフトテニス部は以前からあったものの、この年から強化に力を入れ始めたことが初出場につながっていた。

2年前のインハイで団体戦初出場。まだコロナ禍の影響が残っており、選手も観客もマスクを着けていた

 上級生もいる中で、河西は1年生ながらキャプテンを任されていた。「部活動や学校生活で、同級生だからこそ話せることがあります。他人に注意したりするのは苦手ですが、助けてもらいながら言っています」と語り、「それぞれ個人の課題があるから、全員が克服できるように、まず一球一球のボールと日々の練習に集中して取り組むことが大切だと思う」と今後を見据えていた。

2年前、河西は根尾と組んで1番で勝利。だが2番と3番が敗れ、初戦敗退となった

 その後、キャプテンは苦難の道のりを歩んできた。

 初のインハイ後、1年生の冬に右ヒザを負傷して手術し、数カ月間プレーできなかった。2年時のインハイ県予選までには復帰したが本調子ではなく、個人戦、団体戦とも出場を逃してしまう。

 キャプテンとしての立ち位置も変わった。2年生になって後輩ができると、それまで以上にチームを引っ張らなければいけないというプレッシャーを感じて「大変だった」と振り返る。それでも努力を重ねて今年、2年ぶりに団体戦出場を果たし、根尾とのペアで個人戦も初出場を果たした。

「貴重な経験だった」

 個人戦1回戦敗退の雪辱も期して臨んだ2年ぶりの団体戦。1番敗戦後にコートに立った河西/根尾は、常に先行する展開でG2-1とリードした。しかし、ここから反撃を浴びてG2-④で敗れ、初戦敗退が決定。3番が勝ってチームは意地を見せたものの、またも初勝利はお預けとなった。

2年ぶりの団体戦。敗れはしたものの、根尾とのペアで全力を尽くした

 試合後は悔しさがあふれ、涙をこらえながらも「最後に団体戦に出場できて、すごく楽しかったです」と言葉を振り絞った。ずっとキャプテンとして過ごした高校3年間は、苦しくも「貴重な経験だった」という。

 インハイ団体戦初勝利を目指す後輩たちには「やっぱり基礎が大事だと思う。基礎練習を徹底してやってほしい」と思いを託した。高校卒業後も山梨県のクラブチームでソフトテニスを続けていくつもりだ。

右ヒザにはサポーターを巻いて懸命のプレー

1年目も3年目もキャプテンとしてインハイ団体戦に臨んだ

取材・文◎石倉利英 写真◎牛島寿人、井出秀人