第17回世界選手権は、初日の9月4日、男女シングルスの3回戦までを行い、ベスト8が決まった。日本男子は、船水颯人(稲門クラブ)と上松俊貴(NTT西日本)、日本女子は前田梨緒(明治大)が準々決勝進出を決めた。
まっさきに8強入りを決めたのは、日本男子主将の船水。スロバキア、東ティモール選手に快勝すると、第6シードの台湾選手をG④―3の激闘で下した地元のジン・ヒーユンと対戦。日韓の応援が響きあうなか、船水が立ち上がりからG3-0と先行し、G④―1で試合を終わらせた。
「韓国開催で、韓国の選手と試合ができたので、ワクワクした気持ちがより増しています。これまであまり韓国での国際大会で韓国選手と当たったことがなくて。大会がいよいよ始まったという気持ちが高まっています。状態は悪くありません。明日の朝も勢いもある選手と当たると思うので、しっかりと明日に備えて、相手の勢いをはねのけたいです」と船水主将。
船水のあとに続いたのは、第4シードの上松。声を出して向かってくる台湾の張祐菘との1ゲーム目、「ポンポンとうまくポイントをとりすぎてしまった」という上松は、2ゲームを7-9で落としたあと、3ゲームも失うが、「負けはしないかなと」と4ゲーム以降、冷静に戦い、3ゲームを連取して逆転勝ちした。
「1ゲーム目は、うまくいきすぎていました。そこから僕がミスしたり、相手もいいボール打って、2,3ゲームとられました。でも、相手のリズムに付き合ったら、多分きつくなるだろうと思って。流れがこないまでも、流れを1回ストップさせるきっかけがどこかで絶対あるだろうから、そこを読み取ってプレーすれば負けはしないと思っていました。明日は、相手のいいショットに対し、いいショットで返し続けてもキリがないので、こちらは普通に返し、相手が『なんか点が取れない…』みたいな、パターン作れればと思っています」
女子は高校2年生の天間麗奈(東北高)が、3回戦で韓国のオン・イェージンにG1-④で敗れた。「何もできませんでした。足もついていかなかったです。帰ったらフィジカル的な練習をしたいです」と天間。
そして、大激戦だったのは、日本代表の前田梨緒(明治大)と国際ソフトテニス連盟のワイルドカード枠で出場した浪岡菜々美(ナガセケンコー)の対戦だ。
先に流れをつかんだのは、「クレーコートは自分の強みが出る」と話していた浪岡。G3-1と先行すると、5ゲーム目も3-2とリードし、勝負を目前にしていた。しかし、この瞬間から前田の大逆襲が始まる。
土俵際で踏ん張り、5、6ゲームを奪取。さらにファイナルゲームは、浪岡に3-6と3点のビハインドでマッチポイントを奪われるが、日本代表の大声援をバックに1点ずつ得点し、歓喜の瞬間を迎えた。
「浪岡さんはしっかりストロークができて、サービスも強い。クレーが得意なことも分かってました。でも私は日本代表として戦いに来ているので、無責任な負け方はできない。だから7ゲーム3-6で負けていたときも、ここで折れるのではなく、食らいついて、やらないとダメだなって。それが結果につながってよかったです。金メダルは以前から目標にしているので、明日は、自分の最高のパフォーマンスをした上で優勝したいなって思います」と前田。
惜敗した浪岡はこう振り返った。
「日本代表組との試合は、完全アウェイになることは分かったうえで、練習に取り組んできたので、その中で勝ちきれなかったことは悔しいし、指導してくださってきた方々に申し訳ない気持ちです。リードしたとき、勝ちきりたい思いが強くなって、大事に行きすぎたり、点を取り急いでしまった部分が、大事なポイントでありました。この悔しさを忘れず、来年のアジア選手権では、絶対に日本代表として、金メダルを取り、日本のシングルスのエースといえば、浪岡と言われるように頑張りたいです」