第79回天皇賜杯・皇后賜杯全日本選手権大会の第3日目が11月10日、東京都の有明テニスの森公園で行われた。男女ともに多士済々の8ペアが準々決勝から激突し、女子は古田麻友/原口美咲(ワタキューセイモア)に快勝した塚本七海/前川愛生(広島翔洋高)、長谷川憂華/辻倉奈津(ワタキューセイモア)にストレートで圧倒した第4シードの高橋乃綾/岩倉彩佳(どんぐり北広島)、前回8強の福田麗優/海老根香澄(ワタキューセイモア)を下して一番乗りで4強入りを決めた天間美嘉/左近知美(日本体育大)、矢野亜日華/岩元愛美(神戸松蔭女子学院大)を中盤から引き離した天間麗奈/宮前希帆(東北高/関西学院大)がそれぞれ準決勝に進出した。
戦いの舞台は有明コロシアムに移され、塚本/前川対高橋/岩倉の準決勝第1試合では、序盤から中盤にかけて高校生ペアの塚本/前川がリードする展開に。しかし、第6ゲームを奪って追いついた高橋/岩倉は、ショートボールを効果的に使った前後のゆさぶりが威力を発揮し始め、第7ゲーム以降、一気の8連続ポイント奪取で勝負を決めた。
天間美と天間麗の姉妹対決となった準決勝第2試合は、天間麗/宮前の世界選手権日本代表ペアが要所を押さえて3ゲームを先取。第4ゲームは天間美のパッシングや左近のリターンエースで、日体大ペアが一矢報いたが、それで流れが変わることはなく、天間麗/宮前がG⑤-1で完勝した。
どちらが勝っても初優勝となる高橋/岩倉、天間麗/宮前との決勝戦。天間麗のパッシングで先制し、宮前がボレーを決めた天間麗/宮前が先にペースをつかむ。
高橋とともに日本代表として9月の世界選手権を戦った2人だが、今大会で初めてペアを組んだ。しかも天間麗が大会直前まで中国での世界ジュニア選手権に出場しており、一緒に練習する機会もまったくなかったという。それでも「試合を重ねるごとに息が合っていった」(宮前)と、即席ペアとは思えない安定ぶりが光っていた。
天間麗と宮前はそもそもミスが少なく、大会を通して大きく崩れる場面がほとんどなかった。決勝は4ゲームを先取した後、高橋/岩倉に1ゲームを返されたが、そこで主導権を手放すことはなく、すぐに立て直して第6ゲームで決着をつけた。
天間麗は「ここまで来られるとは思っていませんでした。まさか優勝できるとも思っていなかったのでびっくりしています」と目を丸くし、宮前は「ぶっつけ本番でしたが、世界選手権で学んだことを出せました」と笑顔で語った。
前回は当時高校生だった前田梨緒/中谷さくら(明治大)の快進撃に驚かされたが、あれから1年が経ち、同じ有明の舞台で、また新たな10代のホープが輝きを放った。17歳の天間麗と18歳の宮前、皇后杯の新チャンピオンがこれからどんな歩みをしていくのか。注目したい。