部活と勉強を両立するためにタイムマネジメント用ノートを活用しよう
ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.18 講師◎大儀見浩介
やらされるから勉強が嫌いへの処方箋
日本の学校は基本的に勉強をやらせます。「教科書はここまで読みなさい」「問題集はここまで解きなさい」というように。勉強はやらされるから嫌になるけれど、部活は好きでやっているからできる、という人も多いのではないでしょうか。
“外発的”な勉強を、少しでも興味を持てるものにするためには、工夫とタイムマネジメントが重要になってきます。答えをマル覚えするのは苦痛ですが、実験のように仮説を立ててみたり、覚え方を工夫してみましょう。部活が忙しくて勉強の時間がないというのも分かりますが、それも含めてタイムマネジメントです。
私がメンタルコーチとしてかかわっているサッカークラブの例を紹介しましょう。そのクラブは、オール3以上の成績がないとチームに残れません。選手たちは、イメージトレーニング用ノート(サッカー日誌)とタイムマネジメント用ノートの2冊を併用しています。
タイムマネジメント用ノートには、まず1日の予定を書いて(起床、登校、練習、帰宅、勉強、風呂、夕食、手伝い、ノートを書く時間、就寝etc.)、実際にそれを行った時間・内容をつけていく。ノートの最上段には[結果目標][プロセス目標]を書きます。その日の最後には、大事なところに線を引き、[明日の課題]を書いて終了です。予定と実際の時間がズレていても気にせず、この時間はこんなにいらない、次はこうしていこうと考えていきます。
日誌で大切なのは、自分の気持ちを正直に書くことです。人に評価されるためについ取りつくろってしまいがちですが、それでは日誌をつける意味がありません。日誌は、セルフモニタリングであり、自分自身の成長、進化のためにあるものです。
このサッカークラブでは、週に1回、選手が日誌を見てほしいと思ったときに、指導者に提出するようにしています。もちろん、最初からうまくかける選手はいませんし、時間もかかります。慣れてきたら、20~30分で書き上げられるようになりますよ。
指導者は、選手がポジティブな言葉を使えているか、目標に対してプラン・プロセスが設定できているかをチェックします。あいまいな部分があれば、「具体的に教えて」と質問をしてあげましょう。
タイムマネジメント用ノートの書き方
①1日の予定を書く
②実際に行った時間・内容を書く
③ノートの最上段に[結果目標][プロセス目標]を書く
④その日の最後、大事なところに線を引き、[明日の課題]を書いて終了
メンタルトレーニングお悩み相談室 for 保護者
Q.子供に自分から勉強をさせるにはどうしたらいい?
A.自分で目標を決めさせる質問を
子どもに勉強をさせたいとき、親はどうすればいいか。「今日は勉強しないの?」とさりげなく聞いてみます。勉強のことは考えたくないと言われるかもしれませんが、「じゃあ、時間を決めてやってみるといいかも」とか「休憩時間は何分? 何か食べる? ○○なら作れるけど」という風に、子どもが自分で決定できる質問をしてあげてください。
直接、声をかけると揉めるというのなら、玄関のホワイトボードに「勉強時間は何時?」「夜食は○○」と書いてみます。すると、自分で時間を書き込んでくれるかもしれません。自分で決めさせて、自分の目標を理解させましょう。
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。