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2016.05.18

成長期の今がチャンス!強いカラダをつくる12のカギ 第9回「運動神経を良くするカギ」

水曜連載・身体と健康のおはなし

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講師●野沢秀雄

PROFILE
のざわ・ひでお/1940年生まれ。京都大学卒業。日本で初めてプロテインを開発。健康体力研究所を設立し、現在は顧問。社団法人日本ボディビル連盟で公認指導員講習会の講師を長年務める。身体作りやトレーニングについてメディアから多くの取材を受け、雑誌や新聞に多数連載を続けている。

運動神経は鍛えられない?

 運動神経という言葉は「あの人は運動神経が発達している」「自分は運動神経がにぶい」などという使い方で、一般に多く使用されています。これは、医学的には間違った使い方です。解剖学では「運動神経とは脳から筋肉に指令を伝える神経」のこと。末端の筋肉や皮膚から情報を脳に伝える知覚神経に対応しているのです。つまり、感じた情報は知覚神経と運動神経の2つの神経を往復することで「動かす」という目的が達成されます。運動神経は誰にも同じように分布しており、「優れている」とか「にぶい」「劣っている」といったことはあり得ないのです。
 むしろ、「反射神経」というほうが適切です。ガスの火にかけて熱くなったヤカンに指がふれると、「アツッ」と思わず手が引っ込みます。「熱い」という情報が脳まで行く前に脊髄で感じて、脳に行く前に手が反応して手を引っ込めるのです。
 実は、多くのスポーツ練習で鍛えているのは運動神経ではなく、反射神経のほうです。目がとらえた瞬間に身体が無意識に動くように鍛えているのです。いちいち頭で判断するのでなく、カラダの筋肉が覚えて反応できるように訓練しているのです。今回のテーマもこちらの反射神経にかかわる内容です。

幼少期なら無意識に会得

 ピアノやバイオリンなどの音楽、野球やテニス、サッカーなどのスポーツなど、プロとして成功している人は、3歳ころから音楽やスポーツを始めている人も多いものです。幼少期ほど、カラダが無意識にテクニックを会得できるからです。
「大学生になって初めて音楽、テニス、野球を始めた」という人が、一流になった例は多くありません。高校生でも遅く、せめて中学時代から本格的に入門しないとカラダが素早く反応できないのです。
 ソフトテニスの皆さんが毎日繰り返している練習は「反射神経を高めるため」というのが真実です。反射神経は訓練で高められます。いろいろな状況に対応して無意識に、反射的に素早く筋肉が動くように鍛えているのです。

遊びながら鍛える

 実際に、われわれは子供時代にいろいろな遊びを通して反射神経を強くしています。走ったり、投げたり、転んだり、鬼ごっこをしたり、自転車に乗ったりして、カラダが自然に動くようになります。
 ところが最近は「危険だから」と屋外で遊ぶ機会が減っています。ゲーム器具ばかりで田舎の自然と遊ぶ機会はほとんどありません。残念なことです。
 今回は、そんな反射神経を鍛える方法を紹介しましょう。今回の方法は、ありきたりのようですが、効果は大きいですよ。
 なお、神経を発達させる栄養素としては、カルシウムやビタミン類が関係します。小魚や海苔、新鮮な野菜をしっかり食べましょう。また
視力、特に動体視力も関係します。こちらは次回にご期待ください。

一人で行えるメニュー

①マークキャッチ

01ボールペンやラケットなどに1か所マークを決め、片手でそれを上に投げ、もう片方で決めたマークの位置でキャッチする。マークをつけなくても決めた位置でキャッチすればOK。いろいろな高さ、方向を変えて5回繰り返す。右手でやったら今度は左手で同様に5回。2人で行うともっと良い。

②モグラ叩き

02ゲームセンターで出てくるモグラの頭を素手で素早く叩いて引っ込める。

③バッティングセンター

03機械が投げる球を正確に打ち返す。

2人で行えるメニュー

④キャッチボール

042人で向かい合い、いろいろな角度、速度でボールを投げ合う。

⑤ボクシング

052人で向かい合い、交互に攻撃しあう。本気で殴るのでなく、寸前で止めること。

⑥影踏み

06晴れた日に2人で並び、相手の影の耳部分を踏む。相手は少しずつ逃げる。5回踏んだら交代する。

⑦手の甲叩き

072人が机などに向き合い、1人が手の甲を上に向けて差し出す。もう1人が叩きにいく。手の甲を出している人は、叩かれる寸前で手を素早くひっこめよう。叩く人が動き出す初めから手を引っ込めてしまったり、引っ込めるのが遅く叩かれてしまわないように。寸前で引っ込められるようになると良い。叩く側、叩かれる側、交替しながら交互に繰り返す。


 

強いカラダをつくる12の鍵、第9回「運動神経を良くするカギ」は以上です。
連載もそろそろ終盤戦!ぜひ12のカギをコンプリートしてね!

この内容は「熱中!ソフトテニス部」25号に掲載したものを再掲載したものです。雑誌のバックナンバーをお求めの方はBBM販売サイトよりご注文ください。

イラスト◎丸口洋平