自分の力がどこまで通用するのか。結果を出して、証明したい
【WEB連載】船水颯人『JKTへの道』#40(最終回) アジア競技大会へ
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アジア競技大会のソフトテニス競技は8月28日~9月1日にインドネシア・パレンバンで開催される。船水颯人のアジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追ってきた『JKTへの道』も今回で一区切り。
本大会まであと2か月、船水颯人はどんな目標を持ち、いかなる準備をして大会に臨むのか。
船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、21歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大4年
積み上げてきたものの完成度を高めていく
――アジア競技大会日本代表選手予選会では高校生が残るなど、新しい選手も台頭してきました。下の世代から突き上げは感じますか。
もちろん感じています。特にシングルスは全体のレベルは上がってきています。僕自身、もっと進化していかないと。前回も言いましたが、常に危機感を持っています。
――自分を律するために、意識して危機感は持つようにしているのですか。
うーん。どうでしょうか。悪く言えば、僕はネガティブ思考なんです(笑)。このままではダメだ、ダメだって。
――緊張の糸が切れないように精神状態を保つのは、大変なのではないですか。
現役でプレーできる期間は、それほど長くありません。選手人生を続けているかぎり、ベストを尽くします。いつ勝てなくなるか、分かりませんから。
いま勝っているからといって、来年も勝てる保証はありません。日本代表に入ることもそう。このポジションにいることは当たり前ではないので。決して自信がないわけではありません。良い意味で自分をコントロールできていると思っています。
――8月に向けて、ここからまた準備が始まります。大事にしたいことはありますか。
新しいことをするつもりはないです。基本的にはやることは変わりません。いままで積み上げてきたものの完成度を高めていきたいです。
強いて言うならば、瞬間瞬間の迷いをなくしていくこと。それは実戦でしか鍛えることができないこと。状況に応じて、いま持っている引き出しから何を出すのか。アジア競技大会までに公式戦もあるので、実戦のなかで確認していきます。そうすれば、必然的にミスも少なくなると思います。
日本代表に懸ける思いは強く持っている
――この連載でも何度も口にして、取り組んできたという「スピードテニス」の完成度はどれくらいまできていますか。
どれだけスピードの速いプレーや展開ができるようになったり、思い通りのプレーができていたとしても、アジア競技大会のコートで、それが出せなければ意味がありません。結果がすべてなので。
ただ、勝つことだけに意識を強く持ち過ぎては目の前のことがおろそかになってしまう。今やるべきことは何なのか、何が必要なのか、をしっかりと整理することが大切だと思っています。
――「結果がすべて」だとすれば、予選会を終えての手応えはあるのですね。
手応えはあります。結果がついてきていますから。自分のイメージとプレーが一致することは多くなっています。ただ、勝ったからといっても、完成度100パーセントかと言われれば、また別なんです。
――8月のアジア競技大会では、日本代表として戦います。世代交代も進んできました。次世代を担っていくという自覚は持っていますか。
もちろん世代交代を担うという意識はありますが、それを強く思い過ぎてマイナスに働いてしまっては自分を見失ってしまう可能性があると思っています。しっかりと自分の思い描くビジョンを実行できるように引き続き取り組んでいきます。
ただ、日本代表に懸ける思いは強く持っています。そのためにも、もっともっと個人の力を上げていかないといけません。
――アジア競技大会での目標を教えてください。
出場する種目で金メダルを取りたいです。シングルスは自分のスタイルが確立されてきました。この力がどこまで通用するのか。結果を出して、証明したいです。
皆さんの声援を力に変えてベストを尽くします!
取材・構成◎杉園昌之 タイトル写真◎阿部卓功 写真◎井出秀人、川口洋邦