コートでも宿舎でも、大人はノータッチ。子どもたち主体の小学生東西対抗に込められた思いとは
全日本小学生東西対抗大会◎1/11、12・宮城県仙台市シェルコムせんだい、泉コート
1月上旬に宮城県仙台市で開催された『第3回全日本小学生東西対抗大会』。選手は2日間寝食をともにし、所属の垣根を越えて交流した。大会では、コート内や宿舎で大人はノータッチ。選手たちが自分で考えて行動する環境が徹底されている。そこには、将来を担うジュニアプレーヤーへの大きな期待が込められていた。
「人間的に大事なことを持ち帰ってほしい」
東西を代表するトップレベルのジュニアプレーヤーが集結し、男女各18ペアが6ペアずつの3ブロックに分かれて総当たり戦を行い、勝数の多い方が勝者となる東西対抗大会。実力の近い選手と2日間で6試合を行うことができるため、日頃は対戦機会のない東西の選手が切磋琢磨し合える貴重な機会として定着している。
総当たりの東西対抗という珍しい試合方式だが、最大の特徴は大会方針にある。集まったジュニアプレーヤーには、2日間自分たちで考えて行動する環境が徹底されており、指導者や保護者のコート内への立ち入りは禁止。ベンチには子どもたちが入り、互いに応援しアドバイスし合う姿が見られた。
1日目の試合が終わると選手は東西の男女別の4台のバスに乗り、宿舎までの移動時間を利用してミーティングを行った。さらに宿舎では3ペアずつの6人部屋に割り振られ、夕食後から翌朝の出発までの時間は、選手が自分たちでスケジュールを決めて動いたという。
「仙台市内のビジネスホテルで一人部屋を手配することは可能ですが、あえて会場から小一時間かかる温泉街の旅館を選んだ」と話すのは、東日本小学生連盟会長の金岡昭房さん。日頃交流機会のない選手たちが同じ部屋で一泊することで普段の生活を見直したり、勉強する機会にしてほしいとの願いが込められている。「勝ち負けやプライドも大切ですが、他の子の試合を応援することも大切。人間的に大事なことを持ち帰ってほしい」と、金岡会長は力を込める。
2日間の試合を終え、閉会式では講評があった。金岡会長は”元気さ”と”全日本トップの自覚”について触れ、観客にもアピールできるような大きな審判の声が自分のテニスをさらに良くする方策であること、ボールをしっかりと追い、最後まで頑張ってつなぐことの大切さを強調した。そして、「全日本のトップ選手であることを自覚し、無限な世界に向かって鍛え、考え直してほしい」と大会を締めくくった。
有意義な2日間をともに過ごしてモチベーションを高めたジュニアプレーヤーたちは、それぞれの収穫を胸に会場を後にした。
※第3回全日本小学生東西対抗大会のリポートはソフトテニス・マガジン3月号(Amazonのリンクに飛びます)に掲載しています。
取材・文◎井口さくら 写真◎井出秀人