TOPICS
大会
2024.11.10

【全日本・最終日】船水颯人/上松俊貴、タイトル奪還! ペアとして2大会ぶり4回目の優勝

第79回 天皇賜杯・皇后賜杯 全日本選手権大会◎11月8~10日/有明テニスの森、有明コロシアム

関連キーワード:
今年は2月の全日本インドア以降、思うようにタイトルを獲れず、苦しい思いが続いた船水/上松。その悔しさが払拭される、激闘を制して王者に返り咲いた

 準々決勝から行われた全日本選手権最終日。男女ともに準決勝、決勝は有明コロシアムでの戦いとなった。その結果、男子は船水颯人/上松俊貴(稲門クラブ/NTT西日本)がペアとしは2年ぶり4回目の制覇を達成(船水は5回目の優勝)した。2位には内本隆文/内田理久(NTT西日本広島)、3位には上岡俊介/丸山海斗(Up Rise/one team)、川﨑浩希/山本貴大(ワタキューセイモア)が入った。

 男子決勝に勝ち上がったのは、船水颯人/上松俊貴(稲門クラブ/NTT西日本)と内本隆文/内田理久(NTT西日本広島)だった。

 準決勝、船水/上松は上岡俊介/丸山海斗(Up Rise/one team)にG3-2からG3-4にされ、ファイナルの⑦―5で辛勝して決勝進出を決めた。そして、決勝でも内本/内田とファイナルの大接戦を演じることに。

 渾身の一打を連打してくる内本、いつも以上にアグレッシブにスマッシュ、ボレーを取りにくる内田。ふたりは、船水/上松に昨年の準決勝で敗れていた。その雪辱を期して、そして、初の天皇賜杯獲得を目指し、気迫あふれるプレーで船水/上松に襲い掛かかる。第1ゲームを奪った内本/内田。第2、第3ゲームは船水/上松が奪い返す展開となったが、第4、第5、第6ゲームと内本/内田が連取し、王手をかける。

「(力のある相手だけに)自分たちが大きくリードすることは難しく、相手にリードされることは想定内。だけど、必ずチャンスはやってくる。そのチャンスをいかに生かすかだった」(船水)

 G2-4で迎えた7ゲーム目、内本の渾身の逆クロスを船水が踏ん張ってストレートパスなどでG3-4。続く第8ゲームでは、上松がボレーを2本決めるなどして、ファイナルに持ち込んだ。

 2ペアはファイナルでも最上級のプレーを繰り出す好勝負を展開。2-5とされても内本がストレートパスを見せ、4-6とマッチを握られても内田が船水のコースをボレーでピシャリと止めるなど、最後まで執念を見せたが、最後は内田のスマッシュを上松がローボレーで返し、ペアとして4度目の全日本制覇を決めた。

 今季、各大会でタイトルを奪取できず、そして今大会でも苦しい場面があった船水/上松。それだけに「(これまでの天皇杯優勝の中で)一番うれしい」と上松。「相手がいいボールだったからこそ、自分もいいボールが打てた」と船水。

 準決勝、決勝と同世代のライバルとの連戦をなった船水/上松。その戦いを大激闘の末にものにしての4度目の制覇は格別で、「好敵手がいるからこそ、自分たちの進化がある」と痛感している様子だった。

 永遠に見続けたくなるようなしびれる戦いを見せてくれた選手たち。観ていたすべての人々の心に深く残る最高の激闘だった。

船水は苦しい場面でも、相手の渾身の一打を切り返してのパッシングなどストロークテクニックの巧みさを見せつけた

上松は「意地でも(頂点に)返り咲きたい」と誓って臨んだ今大会。苦しさを払拭されるタイトル奪還に涙を見せた

「今大会、一番光っていたのは内本/内田だったと思う」と船水。内本は一打一打に気持ちを乗せ、打ちきり、極上のストロークを見せ続けた。内田はスケールの大きなプレーでポイントを重ねた。また、決勝では内本/内田のすさまじい執念をもってフォローし、船水/上松を苦しめた

取材・文◎八木陽子 写真◎菅原淳