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プレー&コラム
2017.04.17

コミュニケーションは視覚・聴覚が9割! プラスの言葉はジェスチャーも交えて伝えよう

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.10 講師◎大儀見浩介

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あなたの『良い』と私の『良い』は違う

コミュニケーションスキルを高める上でも、ポジティブシンキング(プラス思考)は重要です。今回は、ポジティブシンキングをコミュニケーションに活用する方法を考えます。ペアやチームメートと良いコミュニケーションを取るにはどうしたらいいでしょうか。まず前提として、人間は一人ひとり考え方も心も違います。

ここで、オムライスをイメージしてみてください。卵はふわふわですか、トロトロですか、上にかかっているのはケチャップ、それともデミグラスソース? ライスの味は? オムライスひとつとっても、それぞれイメージするものが違うわけです。

お互いに良いコミュニケーションを取ろうと思っていても、それぞれがイメージする“良いコミュニケーション”のギャップがあるので、なかなかうまくいきません。ペアとは、プラス思考とマイナス思考についての共通認識を持つようにしましょう。

例)マイナス思考は人のせいにしたり道具のせいにしたりすること。それじゃダメだから、自分の成長やグレードアップを考えよう。

プラス思考のメッセージは、声はもちろんですが、ジェスチャーや表情も交えて相手に伝えるのがいいですね。人間のコミュニケーションには2種類あり、一つはバーバルコミュニケーション(言葉を使ったコミュニケーション)、もう一つはノンバーバルコミュニケーション(言葉を使わないコミュニケーション)です。

ノンバーバルコミュニケーションは、ジェスチャーやアイコンタクト、サインなど。バーバルとノンバーバルの両方を使うことで、より効果的にメッセージを伝えることができます。

『メーラビアンの法則』によると、コミュニケーションのうち、言語情報が占める割合はたったの7%と言われています。聴覚情報や視覚情報が9割以上を占めるのです。ですから、「OK、OK」というときは、言葉だけでなく、表情やジェスチャーも加えると、効果がグンと上がります。

【メンタル用語】メーラビアンの法則

アメリカの心理学者アルバート・メーラビアンが1971年に発表。人と人とのコミュニケーションは「言語」「聴覚」「視覚」の3要素からなり、メッセージの伝達に言語が占めるのは7%、聴覚(声のトーンや口調)が占めるのは38%、視覚(ボディーランゲージ)は55%だった。これは、言語と非言語コミュニケーションが矛盾したメッセージを発した場合のものであり、すべての場合においてこの割合とは限らないが、コミュニケーションにおいては、言葉に加えてジェスチャーや表情を交えると、より相手に伝わりやすくなるということ。

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ペアへの声掛けはジェスチャーも交えて ※写真はイメージです 写真◎福地和男

 

メンタルトレーニングお悩み相談室

Q.ペアがミスしたとき、ペアへの怒りをどうしたら抑えられますか?

A.【大儀見さんの回答】
そもそも、ペアに対して怒るのが間違っています。人はコントロールできません。コントロールできないのにコントロールしようとするから、それができなくて、怒りにつながってしまうんです。ペアのミスは、イコール自分のミスと考えましょう。ペアの忘れ物は自分の忘れ物、ペアのケガは自分のケガぐらいに思わないとダメだということです。

ダブルスは、2人で一つのチームにならなければいけません。そして、チームは一匹の生き物です。自分の手でコップを倒したとき、あなたは手に怒りますか。「何やってんだ、この手」って(笑)。ペアに怒るのは自分に怒るのと同じです。それよりも、気持ちを切り替えて、2人でミスを挽回するために、どんなことができるのかとプラスのイメージをつくるのが大切です。

逆にペアがあなたのミスに対して怒っていたら? 無視するしかないです。その場は真に受けないで流し、試合が終わってから話し合いましょう。そのときに、2人でポジティブリフレイミングすればいいわけです。パートナーがミスした=パートナーがグレードアップする余地があるということ。つまり、パートナーがグレードアップする=自分たちがグレードアップすると考えればいいわけです。ペアの人とポジティブリフレイミングを一緒に考えて意見を出し合ってみましょう。必ずや、コートの中で生きるはずです。

ポジティブリフレイミングはペア同士ですべて同じ答えになる必要はありません。考え方のトレーニングとして、小さなミスを受け止めて、マイナスに考えがちなことでも、こう考えれば発展的だ、こう考えれば成長につながる、という風につなげていけたらいいですね。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。